こんにちわ、こすもっこよ。
今回が最終回のつもりだったけど、文字数オーバーよ!とゆー事で、次回が最終回!なんとかまとまるといいわね!
【前回までのお話】
黄色いドワーフとキャッキャしてたら、ドワーフ突然血を吐いて倒れたのよ!ついでに魔障が出てきてまあ大変。そしてその魔障、なんと怨霊になったわよ!魔障と言えばイルーシャ!さぁ浄化だ!え?断られた?!
…できないってどーゆー事?!
「待って!ごめん、言葉足らずを謝るわ。正確に言うとアレは魔障ではないの。それは…」
イルーシャによるとこうであった。あの魔障に見えたもの…実はこの世界に蓄積された没ネタや浮遊ネタが怨念となり怨霊化したものである。成仏できなかった無念が時間の経過でさらに歪み、中途半端なネタを作った制作者を怨み、呪うのだと…
そして、その特性上通常の魔障とは浄化方法が異なるという。
また、ドワーフとこすもっこが浮遊ネタを作った事は事実であるが、それは怨霊が発生するきっかけだったに過ぎず、それを構成するほとんどは、これまでに世界中で垂れ流されてきた中途半端ネタであろうと。
事実、これまでにもこの怨霊が発生したという記録があるらしい。そして、その都度多大な犠牲を払って浄化してきたらしい。
つまり…浄化する方法はあるのね?
「うん…浄化の方法自体はいたってシンプルでね。怨霊の前で、とある言葉を大声で言うだけ…なんだけど…」
いつになくイルーシャの歯切れがわるい。しかし、こすもっこにはそれがもどかしかった。
今にも魂と身体が分離してしまいそうなその時も、心配をかけまいとダジャレを言ってのけた黄色いドワーフ。あの表情が、あの声が、こすもっこの瞳と耳にこびりついて何度も再生される。
いいから!その言葉を教えて!
「う、うん。だよね。でも、この言葉を発する事は大変危険なの。私はそれを心配…」
いいのよ!危険なんて今までもたくさんあった!でも乗り越えてきた!次も絶対乗り越える、それだけよ。そんなもの、天秤にかけるものですらないの!
「…わかった。最後にもうひとつ。この言葉は浄化するために必要な言葉、ってだけの事であって…その…決して私がそう思ってる、って訳ではないの。それだけは…わかってね。だから、コレを私から聞いたって事も秘密にしてね。」
イルーシャの懇願とも言える言い様に、その危険性を察しつつも、もはや聞かないという選択肢はない。いつもに増して真剣な表情を作り、イルーシャの目をまっすぐに見て小さく頷くこすもっこ。
「わかった…その言葉はね…ごにょごにょ」
なるほど。
危険性と、根底にあった原因。イルーシャから聞いた言葉から、その両方を理解し、納得したこすもっこ。イルーシャに礼を告げ、再びドワーフと怨霊が待つ場所へと戻ったのであった。
ドワーフ!生きてる?!
「おー…ワシはここで…なんとか…生きてるけど…怨念も…まだ…おんねん」
ふっ、大丈夫そうね。
怨念じゃなくて怨霊だけどね。
うん、今助けるから。
…これを言えば元凶であるアイツらに殺されてしまうかもしれないなと、こすもっこは思う。しかし、もはやそんな事はどうだっていいのだ。今はともかく浄化に集中する。改めて自分のなすべき事を見据え、大きく息を吸い込んで…
「プクリポの笑いは…レベル低いんじゃぁぁぁ!!」
その言葉が響き渡った刹那、魔障がとてつもない光を放つ。
そしてそれが収束した時、あたりは再び晴天に包まれた。
「よーゆーてくれたなぁ…ありがとう」
光が消える時、どこからともなく聞こえたそれは、とても穏やかな響きだった。
イルーシャから、浄化の言葉を聞いた時。
以前参加したプクレット村の演芸グランプリの記憶が甦った。
ニワトリの帽子と付けひげを無理やり装備させられた時のことを。
審査員に担ぎ上げられ、微妙なネタに優劣をつけさせられた時のことを。
ステージで妙にテンションが上がっている村長のことを。
最終的に痺れクラゲの意味のわからん言葉?に、村民たちが大爆笑していたことを。
そっか…このアストルティアで発生する浮遊ネタ…ほとんどはプクリポ達が量産してたんだ。そういえば、けがれの谷ってのもプクレット村の近くにあるもんね。
つまりこういうこと。彼らは自分達が浮遊ネタを作ってしまってることに気づいてない。そして誰もそのことを指摘できない。そのもどかしさが、浮遊ネタを怨念化させ、そしてそれがある一定量集まると怨霊になって出現する。
…だから怨霊が消える時に「ありがとう」って言ったのね。
わたし、少しはこの世界の役に立てたのかな?
そして…こすもっこはそっと目を閉じた。
その周りにひとり、またひとりと殺気だった影が現れる。
次回…大団円!!