エ『アガってきたわ!行ってきます!!』
エラはムダを呼んで出掛ける支度を始めるのでした。
エ『ムダちゃーん。お出かけしましょ♪』
ム『…どこいくの?』
エ『うふふ。い い と こ ろ♪』
ム『…エラお姉ちゃんご機嫌。…怖い。』
エ『えー。何でよー。』
ム『…お母さんに怒られるよ?』
エ『マチルダさんにはナイショねっ。』
ム『…うん♪』
歳の離れた子供と奴隷。夫にもう一度振り向いてもらいたい為に産まれた子供と自分の欲求を満たす為に買われた奴隷。境遇は違えど2人は本当の姉妹のように仲が良かった。
2人は町を目指して歩き始めた。
エラのいる屋敷は町の離れにある。家主はここら一帯を牛耳る大地主だ。
ム『…それでね。最後にこう言うの…あり…あり…
なんだっけ?』
ムダちゃんは読書が趣味のようだけど、漫画のようなものがこの世界にあるのかと考えながら他愛のない話をして町に向かう。
人気もないし、頃合いかなと話を切り出した。
エ『ところでさ、この世界の事って何か知ってる?』
ム『…?』
エ『えっ…えーっと…私のホントの事とか?』
ム『…???』小首をかしげてこちらを見上げる。
エ『(頭の上に?がいっぱい。かわぃぃ。…じゃ、なくて!!)』
ム『…エラお姉ちゃんはエラお姉ちゃんだよ。…お母さんがいない時は遊んでくれる。』
エ『そっ…そっか。ありがとう。そうだよねー。ごめんね。急に変な事言って。あはは…。(話が違うじゃないの!…騙された?信じるんじゃなかったわ…。)』
メ『(あー そろそろ町につく頃ですか?)』
エ『わっ!』ム『…?』
エ『あはは…ごめんね。つまづいてビックリしちゃった。(何なのよ。急に…。)』
メ『(すみません。今のムダさんからは何も聞けないのをすっかり忘れてました。)』
エ『(そーゆー事はちゃんと覚えてなさいよ!)』
メ『(…でですね。町に着いたらエヴィという方を探して下さい。あなた方の力になるでしょう。…それではまた。)』
エ『(…ホント一方的ね…。何もないよりはマシかも。エヴィ…どんな人なんだろ?)』
2人は町に着いた。
ム『…エラお姉ちゃん、疲れた…休みたい…。』
エ『そうね。いつもの喫茶店で休みましょ。』
ム『…やったー♪』2人は喫茶店に向かった。
店員『いらっしゃーい…あら、エラちゃんにムダお嬢様。うふふ。今日はお忍びね♪』
エ『えぇ。いつものお願いします。』
店員『レモンティーとミルクね。待ってくるわ。』
2人は家が留守になる度ここに訪れる。2人の秘密。
奴隷と言えど労働の対価は支払われるので少しばかりの所持金はある。
…とは言え、真っ当な額ではないのでエラにとって安い出費ではないが、エラにとっては少ない幸せな時間だ。
店員『はい。お待たせ。…そう言えばさっき奥様とミジェお嬢様が血相変えて城下町に向かったわ。なんでも、舞踏会の開催日を明日と勘違いしてたみたい。』
エ『えっ!?いつなんですか?舞踏会。』
店員『あら。今夜よ。だから、今日は町の子達みんな城下町に行ってるわー。』
ム『…お姉ちゃんはいかないの?』
店員『私までいったらムダお嬢様はミルクが飲めなくなりますよー?』と微笑む。
ム『…それは…困る…。これからどうするの?エラお姉ちゃん?』
エ『そうだ。人を探してるんだけど…エヴィって人、知りませんか?』
店員『エヴィ…ごめんなさい。ちょっとわからないわ…。町にいる人達ならわかってるつもりだけど…もしかしたら…西の森の…。』
エ『西の森?…何かあるの?』
店員『えぇと…魔女がいるって…噂なんだけどね。昼間でも薄暗いし最近は森に近づく人は少ないから。』
エ『西の森の魔女…。(悪魔がいるくらいだもの。魔女が出たって不思議じゃないわ。)ありがとう。行ってみる。』
店員『…信じられない話なのに…何か大事な用があるのね。気をつけて。…最近、よくない噂も聞くから…森に入ったら戻ってこれないとか…。魔女の仕業じゃあないかって…。』
エ『(人を遠ざけてる感じ…行ってみる価値はありそう。)いなくなった人達の手掛かりもあるかもだし、いこっか。ムダちゃん。』
ム『…うん。』
2人は店をあとにして西の森へと向かう。
森の入り口に着くと入り口手前に誰かいるようだ。
まずは話を聞こうと近づく事にする。
?『おっそーい!いつまで待たせんのよっ!!』
…向こうに先に声をかけられてしまった。
To be continued…!!