ミ「待って!話がおかしくない?エラは午前零時の鐘で魔法が解けるのが怖くて逃げたんじゃないの?」
ア「ファウストは魔法使いだ。エラにあらかじめ幻術をかけていたんだろう。言葉巧みに人を操り、全て計画通りだったと思う。たったひとつを除いて。」
ミ「ひとつだけ?」
ア「…そう。エラが魔法を使えた事だ。エラの強い願いが魔法となり外界に助けを求めて君を呼んだ。」
ミ「私を?」
ア「正確には君じゃなくても自分の呼びかけに応えてくれる者を。魂の形が似ている者同士は共鳴し、惹かれ合う。そして君の魂とエラは共鳴して出会った。そしてファウストの計画では主人公エラのいない世界でガラスの靴を餌に王子を操り、終わらない宴の中で徐々にこの世界の演者の命を魔宝具「零時迷子」に取り込み最後にはその命(魔力)を我が物とするものだった。これは繰り返しの中で僕達が得た情報。これを止めるには核である零時迷子をファウストから取り戻すしかない。取り戻せれば僕が零時迷子にかけられた術式を解除する事が出来る。そして繰り返しの中で僕達は目前までたどり着いた。…時間切れで失敗に終わったけどね。それでエラの演者の存在…つまり君に気づいたファウストは僕達を近づけないよう他の演者を操り僕達を遠ざけた。こうして零時迷子を巡る繰り返しの中、新たな問題が起きた。」
ミ「新たな問題?同じ日を繰り返すだけなのに新しい問題って起きるの?」
ア「…歪みだよ。もともと一冊の本だったこの世界で脚本通り物語が進んでいれば誰も何も感じたり考えたりする事は無かったと思う。筋書き通りなら…。繰り返しの中で想い人の為に罪を重ねる事への葛藤…、数々の命と想いが消えていく中で本来持ち得ない「心」を持つ者達が現れ歪みが生じた。そして歪みは徐々に大きくなり同じ日々に変化をもたらした。その変化はこの世界に新しいページを…歴史を創った。微々たる変化から大きな変化…様々な一日が生まれた。…それは僕達が過ごす現実の日々と似ていた。…これはまるで世界の縮図だ。…ファウストが創った…。」
ミ「ファウストは何がしたいの?新しい世界を創って神様気取り!?創るのも壊すのも自由って!?ふざけないで!一発ぶん殴ってやるわ!!」
ア「ふふっ…気合充分だね。今の君ならだいじょぶかな。ミント…これから見せる世界は君にとって残酷で耐え難いものだ。…それでも、逃げずに向き合って欲しいんだ。自心と世界と…。」ミ「…どういう事?」ミントは本を覗き込む。
ア「…綺麗な世界にいられたら誰も不幸にならないのにね…。」
ミントの意識は本に吸い込まれた。
To be continued…!!!!!!