ネタバレ要素あり。パラディンクエストについて。パラクエが好きな人、批判めいた内容が苦手な人はパスしてください。
バレンタインイベントが終わり、来月はホワイトデーイベントが開催される(はず)。
第1回~2回と連続でエントリーされているキャラの中にパラディンのズーボーがいる。
ズーボーはホワイトデーイベントだけでなくセキュリティ関連のキャラクターに起用されたりと、DQXの男性キャラの中では人気キャラの部類に入っていると思われる。
ところがわたしはこのズーボーがどうしても好きになれない。
少々愚鈍なところがありつつも心優しく実直であり、熱血漢。人気の理由はそんなところだろうけど、わたしが彼を好きになれないのはパラディンクエのストーリーにある。
パラディンクエのあらましを説明すると、ガートラントは定期的に目覚めるモンスターによる厄災を鎮めるためにとある村に莫大な補償金と引き替えに生け贄を差し出させている。
パラディンのズーボーは護衛をすることになった少女がその生け贄だと知り、どうにかして守りたいと考えているが……というお話。
多数の命を守るために1つの命は犠牲にしてもよいのかという定番だけど人として大切なことを問うストーリーだ。
結末としては、生け贄の儀式の最中にズーボーは目覚めたモンスターと少女の間に割って入り間一髪で命を助ける。
しかし、ズーボーは少女を守りたいと強く願う一心でその身を強固な岩へと変貌させてしまう。
それは真のパラディンだけが到達するという尊い姿だった。
自らの命を犠牲にして少女を守ったズーボーに惜しみない敬意が捧げられた……というもの。
いい話だとは思う。自己犠牲そのものの是非は問われるとしても、ズーボーの少女を守りたいという真摯な気持ちは伝わってくるし彼の純粋で美しい心を描いていることは違いない。
ただね、ズーボーね、「少女を守りたい!」って気持ちはすごく伝わってくるんだけど、だからといって何かをしたわけじゃないのよ。
わたしが見落としているだけかも知れないけど、少女を守りたい、生け贄の儀式は許せない、ガートラントの金で解決という姿勢も許せない、みたいなことを態度に表すだけで「ではどうすれば少女を守れるのか」「少女を守りつつどうやって厄災を回避するか」「モンスターを倒す方法はないのか」といったことに行動を起こさない。
少女を守りたい、救いたい、犠牲にしたくないってのは誰もが思っていること。ズーボーだけがそう思っているわけじゃない。
結果、ズーボーは生け贄を差し出さないことによるリスクは一切考えずに「ジェニャを守るのだー!」と儀式に割り入ってくる。
わたしはこの辺がどうにも許せない。
考えて考えて考え抜いた先に解決方法が見つからずに、結局考えるより先に身体が動いてしまったというならまだわかる。
ズーボーはただ少女を守りたいということしか考えていない。
大陸全体を危険に晒した男が英雄として讃えられるということがわたしはどうしても納得出来ない。
たまたまその場に居合わせたプレイヤーがモンスターを退けることが出来たからいいものの、ズーボーの軽はずみな行動でもっとたくさんの人が死ぬことになったらどうするつもりだったんだ、と。
そして大陸全体を危険に晒すような恐ろしいモンスターをプレイヤーがあっさり撃退してしまうのもなんだかモヤモヤしてしまうのだけど、それ以上にこのお話で恐いと思う部分がある。
このお話はパラディンのクエストなので、当然プレイヤー……わたしもパラディンだ。
誰かを守りたいという気持ちが最高潮に達したとき、パラディンが岩になってしまうというなら、あの時モンスターの前に立ちはだかったズーボーを守るために、モンスターからガートラントを守るために立ち向かったわたしも「岩になる可能性があった」ということだ。
実際には「パラディンという職業は、岩になってでも守りたいという思いを具現化出来る」ということなんだろうけど、お話の流れ上どうしても「守ろうとしたものは岩になる」ようにしか見えない。
正直、ただの呪いにしか見えない。
もしかしたらわたしもザマ峠の丘で岩となってガートラントを見下ろすハメになっていたのかも知れないと思うと恐くて仕方が無い。
パラディンは最終手段として自分の身体を岩にして対象を守ることが出来る。もちろん元に戻ることは出来ない。ズーボーはそのことを知っていた上で、岩となってモンスターを封印することにした。その際ちょっと予定が狂ったので「いいから俺ごとやれ!」的な感じでプレイヤーが手助けをし、封印に成功した……みたいな話だったら納得は出来るしズーボーカッコイイ! になったと思うんだけどねー……。
ホワイトデーイベントを前にして、そんなことを思い出したというお話。