試練の門はオイシイ。
経験値もゴールドも他のクエストとは比べものにならないくらい大量に、しかも短時間の作業でもらえる。それなりに腕があれば元気玉1つで一周できるので効率も非常にいい。
ついでに高確率で宝箱をドロップし、結構な数の素材アイテムが手に入るので小遣い稼ぎにもなる。盗賊と一緒に行けば、それはもうホクホク気分だ。
手に入るアイテムは、高価で売れるレアドロアイテムはもちろん、宝石類や○○アイなどの石類などどれもバザーに出せば安定して換金できる優良アイテムばかり。
宝石類でも一つ一つは590~600G、石類は250~260Gとそんなに高くはないけれど、一周すれば結構な数が手に入るのでバカにならない。他人の試練に便乗できればかなりの金額だ。
わたしは強戦士の書が導入された後も、しばらく試練の門はやっていなかった。
なんだろう、導入前に「試練っておいしいよね」と言われて誘われることもあったけど、人と比べてスペック不足な割になぜか経験値の方には目が行ってなくて「んーアイテムいっぱいもらえるし確かにオイシイかもね」くらいにしか思っていなかった。移動も大変だったしね。
そもそも試練はストーリー進行中に出くわす邪魔な存在だった。早くストーリーを進めたいのに道がふさがれて、しかも出てくるモンスターはそれなりに強い上に面倒くさい相手が多い。敗北することもままあった。なのでそもそも試練の門にいい印象がなかった。目的がストーリー進行だったからもらえる経験値も「お、なんかすごい」くらいにしか思ってなくて、元気玉使ったらどうなるかなんて考えもしなかった。ようやく先に進める、これがわたしの試練の門突破の感想だった。
わたしは一日のプレイ時間が短いため、「日課」という形でコンテンツを消化することがほとんどない。迷宮でさえ行く日と行かない日があるくらいだ。そんなだから強戦士の書導入後もそれ自体は取ったものの、優先順位は低く自分で行くことはあまりなかった。
ただ、ある時に一周コースに誘われてやってみたらそこでようやく「オイシイ」意味が理解できた。30分でレベル1つ上がってもおかしくないくらいの経験値。仲間モンスターを連れていれば彼らのレベルも上がる。手に入るアイテムもまとめてバザーに出せば、財布が急に温かくなる。
わたし自身も試練をめんどくさいなぁと思ってた頃の自分とは全然違う。楽々とは言わないまでも負ける可能性がある相手はごく一部。あの頃いなかった仲間モンスターもいる。ストーリーやクエも消化、メイン職のレベル上げが一通り終わり、他職のレベル上げをするの目的となっている今は、試練の門は確かに「オイシイ」。レベルの低いキャラでも、「手伝って欲しい」と誰かを誘えば試練はオイシイので大抵PTを組んでくれる。
今では(といっても随分前からだが)わたしも試練の門は必ず行くようにしている。一周できなくても数体でもオイシイということがわかったからだ。誰にとってもデメリットの少ない有料コンテンツだ、と今では思う。
……お気づきだろうか。
ここまで読んできて、モヤモヤしたものを抱えている人がいると思う。思わない人は適当に読んでいるか、そもそもズボラな性格なのか、もしくはわたしと同類の人だ。
そう、わたしは宝石類・石類を今までずっとバザーで売っていた。
市場価格が安定している? いっぱい売ればいい小遣いになる?
宝石類の店頭売却価格は600Gで石類は250Gだよっ! 出品料はともかく手数料を考えればバザー出品は明らかに損してるよッ!
わたしはつい最近そのことを知った。
先日一緒に試練に行ったフレに「バザーで宝石売ってこようよ!」と言ったら「? 宝石類は店で売るにゃ」と言われた。
まったく気づかなかった。そもそも宝石類だけでなく試練の通常ドロップアイテムのバザー価格はほとんど売却価格割れだった。
買いに行くのがめんどくさいから多少高価でもバザーで買うよ。というのはわかる。しかし「売却」というだけなら明らかに店頭の方が楽なのに、なぜわざわざ売却価格以下での出品が後を絶たないのか。わたしには経済のことはよくわからない……。
フレに教えてもらわなければ、わたしはおそらくサービス終了まで出品料と手数料をバザーに支払っていたに違いない。そうなれば、わたしの損失はいかほどになっていただろうか。
どうやら、試練の門はわたしにもう一つの試練を課していたようだ。
願わくば他にわたしのように試練を課された人がいませんように……。