あれからどれくらいの年月が過ぎただろうか。
転生詐欺に引っかかり貧弱なボディを与えられた私はショックから立ち直るのに時間を要した。
しかし、冒険者はみなレベル1から始まるもの。私もレベルを上げればこの貧弱ボディとはおさらばのはず。
そう信じて。
そしてスライムとの死闘の日々。
ある時は勝ち、ある時は負け。
辛く苦しい修行の日々が続いた。
そして…
ついに俺は手に入れた
この逞しい肉体を。
スライムを片手で握りつぶせるようになった俺は素手で冥王とかいうモヤシを叩き伏せ、レンダーシア大陸に渡り、勇者の盟友となった。
写真はグランゼドーラの城のテラスにて、パートナーとも言える勇者姫アンルシアに撮影してもらった。
『…なぜ、裸になったの?』
と困惑した様子の彼女だったが、無論、転生したての頃の自分と決別するため、この鍛え上げた肉体を記録する必要があるのだ。
何故か一緒に写ることは頑なに拒否する彼女。まぁ、彼女も勇者である前に王族。勇者の盟友とはいえ、異性と2人で写った写真が世に出回る事を危惧したのだろう。
これからマ…なんとかいう魔王を倒しに行くのだが、勇者姫はそれに当たり何か装備を買ったらどうかとやたら新たな武具を勧めてくる。
魔王ごとき、俺のばくれつけんで十分なのだが…と申し出る俺だが。
『お願い。やめて。その格好だけは。』
と、厳しい視線を返す彼女。ふむ?そういえば、撮影の時に服を脱いだままであった。特に問題がないのでそのまま冒険に出かけようとしていた自分だった。なるほど。勇者として盟友の体を気遣ってくれたわけか。
まぁ、防具など無くても問題ない自分だが、魔王との戦いに万全を期して望みたいという彼女の意思は尊重しよう。
と、言うわけで手に入れた装備だが。
ううむ、どうもしっくりこない。
勇者はよこでやたら安心した顔をしているので、なんとも言えないが。
総額1000万Gは越える最新の装備とのことであったが、装備の良し悪しを決めるのは値段では無く相性だろう。
何より、ドレスや水着で冒険に出かける勇者に装備の事を言われのはどうなんだろう…と思った俺であったが今は彼女も異世界の通貨で700円はしそうな鎧に身を包んでいる。
とはいえ、やはり納得がいかない。
この装備よりいい装備があるのではないか、と冒険者の多いグレンの町で装備に関する情報を集めようとする俺であった。
そうしてなんと、グレンですぐに理想とする装備と出会う事が出来た。
その装備はどこで手に入れたのです!?
あぐあぐ
職業:マイラー(NEW)レベル1
…続く?