男は芸術家だった。
彼はアストルティアの世界におおいなる美を感じ、当代一流の画家としてその美を写し取ることを生業としていた。世界中を旅してたくさんの絵を描いた。
また男はその実力にふさわしい自信家だった。
「俺の絵筆は現実以上の美をキャンバスに浮かび上がらせる。」
そう豪語してはばからなかった。
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だが、彼は気づいていた。
自分の絵が、どう描いても現実の美に及ばないことを。
不幸なことに、彼はそれを認めることができるほど強くなかった。
彼は敗北感から逆に強がるようになった。他者を見くびり、どこかおどけた調子で、なにごとにも正面から向き合わなくなったのだ。
「この世界は不完全だ。俺が世界を創るなら、もっと美しい完全な美の世界を創るのに。」
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自分をごまかす言葉に彼は酔った。
自分自身、その言葉を信じるようになった。
彼はそのために世界を巡り、創生の魔力の存在にたどりついた。
「創生の力を手に入れられれば、俺は女神よりも美しい世界を創る。」
いつしか彼の描く絵はどこか不気味に悪意がにじみ出るようになっていた。
しかしそれに気がつく者はいなかった。
ついに男は創生の魔力に手を出した。
そのすさまじいエネルギーに男の体も、魂までもが粉々に吹き飛んだ。
だが、そのすさまじい執念だけは消えなかった。
男の執念は、創生の魔力の力を得て形を成した。
男の人を小馬鹿にし、おどけた態度はそのままに、女神の作ったアストルティアを否定し、上から自分の世界で塗りつぶす。その執念だけの存在となって…。
根拠はありません。本当かどうかもわかりません。たぶん見当はずれな夢でしょうw