私は
とある世界に存在した登場人物
名前はありませんでした
私は そこで描かれました
ある時
物語の作者が
自分の物語をバカにされたことで
自暴自棄になり
自分の作品を
この物語を焼却しようとしました
私たち物語の登場人物には
それはエンド・ワールド
私たちは消えゆく運命
死を覚悟しました
その時
私を照らす光の中から
手が差し伸べられ
私は それを掴みました
気が付けば
地平線の彼方に夕日が沈みそうな
空と雲だけが見える その空間で
とある者に助けられました
「君しか救えなかった すまない」
悲しそうに その者は言いました
名前を聞かれたので
「そんな物はありません」
そう答えたら
「では
僕が名付け親になっていいか?」
そう提案してきました
「リリア・・いや リーアにしよう
セクト・リーアではどうだ?」
「それが私の名前ですか?」
「嫌か?」
「いいえ」
私は
その時 セクト・リーアになりました
あの人と暮らす内に気付きました
よく 私を認めては
名前をリーアではなくリリアと
頻繁に間違えるのです
名前は似てますが
どうしても間違えてしまう
そうでしょう
本当はリリアと名付けたかったのだから
私をリーアと名付けたのは
貴女に罪悪を感じたからでしょう
私と貴女 姿形 似てますよね
あの人は私にリリアさん
貴女を重ねて見ていたのですから
私は代わりでしかなかった
あくまでも あの人は
私にリリアを求めていたのだから
でも 私は
それでも かまわなかった
あの人が望むなら
私はリリアでも かまわない
あえてリリアを演じて見ようと
思いました
でも ムリなんです
私は貴女になれなかった
上品で おしとやかで
それはネコをかぶっていて
本当の貴女は
純粋で子供っぽくて
そのギャップがおかしくて
つい あの人は
笑顔が零れてしまう
私も
そんな存在になりたかった
私は
クールで大人っぽくて
ネコをかぶれない
上品で おしとやかだが
純粋で子供っぽくなれない
あの人を笑顔にするギャップもない
貴女になろうと思えば思うほど
貴女とのギャップがありすぎて
あの人を悲しませてしまう
どうすれば
私は貴女になれるのですか?
どうすれば
あの人は
私を見てくれるのですか?
その悲しみの年月が続きました
本音を言いますリリアさん
私は貴女を あの人に
会わせたくありません
貴女が あの人と会えば
あの人は貴女しか見えなくなる
それを私は
誰よりも理解できるのです
・・・でも