そんな人間
居るわけないじゃん
自宅
どんな子供だった?と
聞かれても わからない
学校にすら行けなかったから
評価してくれる人が居なかった
やめろ また言われる
「子供の頃から この部屋で
寝たきりになっているのが当たり前で
また言われてしまう
「人と関われて生きられた
ことがないんだ」
「・・・」
「(・・・言わなきゃよかった)」
ヴィダの顔を抱きしめる
「ミレイさん?」
「・・・
・・・つらかったね
「(・・・・ちがう
いつも言われてた否定の言葉ではない)」
涙交じりのミレイの声が
さらに涙交じりの声になり
もっと強く抱きしめる
「・・・
・・・悲しかったね
「・・・どうして?
・・・泣いてくれるの?
回想
孤児院
大人たちも子供たちも
楽しそうにしている
そこで独りだけ泣いて居る
子供以外は
そこで泣いて居るのに
誰も見向きもしない
そこで悲しんでいるのに
誰も気にかけない
そこで寂しがっているのに
誰も
存在しないかのように
少女「・・・」
回想 終了
「貴方は私と似ているのかも
世界って
・・・優しくないよね
「・・・そうだね」
「ごめんね わざとなんだ
どんな子供だったって聞いたの
何も無いって わかってた
でも
それを言葉にして伝えられたら
貴方は
つらい 悲しいって
言葉にできることができるから
吐き出させてあげたかった」
「・・・初めてなんだ
悲しいって伝えて
泣いて感じてくれた人が」
「・・・そっか
・・・楽になれた?」
「うん すごくね」
夕方
「私が居なくても泣かないように」
「・・・子供じゃないんだから」
「貴方は
もっとリフレッシュしたほうが
良いのかもね
今度 街に出かけてみようか?
「え?」
「障害がひどくて
倒れそうになっても支えてあげるよ?
そのくらいの対応はできるし」
「ヘルパーって
そこまでしてくれるの?」
「プライベートで
どこか行こうって言ってるの」
「僕と居ても つまらないよ
人と関わって生きられなかったから
人との 付き合い方なんて知らない
楽しませてあげることも」
「じゃあ 練習ってことで」
「(それでも いいのか)」
「フフ
また 明日ね
「うん
また 明日
帰っていくミレイ
ヴィダの自宅 就寝前
「なんだろう この感情
・・・初めて感じる