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自宅の菌類

アオマリモ

[アオマリモ]

キャラID
: RU977-303
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

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アオマリモの冒険日誌

2016-12-04 22:08:50.0 2020-12-20 20:42:31.0テーマ:その他

街談機関 その3 「雪が抱く偽物の奇跡」10


頂上に向かう坂道は雪で覆われていて、先ほどまでの岩道のように雪を避けて進むことが出来ない。だから、この先に進むにはどうしても雪の上を歩く必要がある。だとすると、雪の上には当然、先客の分の足跡が残っている筈なんだが…その足跡が消されている。
道の上には、幅30cmくらいの溝が延々と続いていた。溝の中は細かい山が蛇行する様に刻み付けられている。スパイクの付いた靴で、足跡を左右に引っかいて消した様だ。どの辺に足跡があったかはわかるのだが、溝が足跡の凹凸を完全に壊してしまって、具体的な形がわからなくなっている。
つまり、先客が自分自身の足跡をいちいち消しつつ、この道を進んでいったということだろう。

これは一体どういうことだろうか。単純にお宝を狙っているだけなら、足跡なんか気にせず突っ走っていく筈。ちょっと進むたびに足で足跡を引っかくなんて面倒な真似はしない。まるで、ここに誰か来ていたことを気取られたくないみたいだ。
俺の先にいる「先客」は、誰かに追跡されているのだろうか。見つかると面倒ごとが起こるから、なるべく自分とわかる痕跡を残さないよう捜索しているとか。

何だか嫌な予感がしてきた。この推理が正しいと、「先客」と「追跡者」はあんまり仲がよろしくない。追跡者らしき影は今のところ見当たらないが、仮に追跡者がこの辺りに居た場合、先客と鉢合わせ次第大捕り物に発展しそうな雰囲気がある。
混乱に乗じて、俺がお宝をかっぱらう隙が出来ればいいが、このあんまり体調がよくない状態で、そんな誰とも知れない相手との混乱に巻き込まれるのはちょっと勘弁してほしい。本格的にやばそうな感じだったら、花なんてほっといて逃げちゃおうか、と俺は考え出した。

そう、この辺まで考えておきながら、俺はもっと重要なことに思い至らなかった。道連れ的にではなく、もっと「積極的」に俺がその先客と追跡者の争いに巻き込まれる可能性を考えてられたなら、俺も先客に習って自分の足跡を消しておくべきだったんだが、残念ながらそんな入念な細工をする頭が俺にはなかった。そのまま、俺は大雪柱の頂上目指して移動を再開してしまったのだ。

まあ、先に言うと思ったほどの大惨事は起こらなかったんだが、この辺の懸念をスルーしてしまったせいで、俺は知らず知らず大損をかくことになる。勿論、大雪柱に居た時点の俺は露ほども気づいていない。

で、俺が謎の足跡を見ながら考えていた折、急に事態が動いた。
俺が立っていた位置から離れた場所、大雪柱の芯を挟んだ反対側の物陰から、回復呪文が飛んできたのだ。
死角からいきなり魔法が飛んできたことで、俺はあっさりと思考停止した。まさか俺が散々追っていた先客が、俺のすぐそばの位置にいて、しかも魔法を使って接触してくるなんて思いもよらなかったからだ。
頭が回り始めてからすぐ、大分遅まきながら身の危険を感じたが、自分の方に飛んできた呪文が攻撃の類のものではなく、淡い緑の光で構成された回復呪文だとわかった辺りには、既に俺の傷は治ってしまっていた。さっきまでじんじん響いていた痛みが完全に引いてしまった。
呪文を詠唱する声は聞こえなかった。俺が足跡に目を奪われてしまっているうちに、小声で済ませてしまったのか。

俺が予想外の応対に呆気にとられているうちに、雪柱の陰からざざざっという雪を引っかく大きな音が響いた。俺に呪文をかけた相手が、物陰から走り出したらしい。
俺も慌てて後を追った。
ひょっとしたら、相手が既に花を獲得しているかも知れないし、最低限その確認をしたかったというのもある。しかしそれ以上に、「この先客をここで見失うとヤバイことになる」なんて気がしたからだ。
単なる親切で通りすがりの男に回復呪文をかける奴は、物好きな観光客ならともかく冒険者の中にはいない。競争相手を蹴落とすために攻撃呪文を放つというなら話はわかる(人としてどうなのかとは思うが)。しかし、見も知らぬ相手に回復呪文をかける理由がわからない。
しかも、さっき自分で考えた推理の通りなら、この先客は厄介ごとを抱えている。何かしらの策に俺を利用するため、後から俺に恩を売ってくる可能性も無きにしも非ず。
具体的な動機はわからん。しかし、ここで見失ったら後々ヤバイという、嫌な直感があった。

(続き・http://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/4454737/)
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