「…マジかよ。俺みたいなぽっと出が参加していいもんなのか、その作戦」
「いいわけないわよ。世界最高峰レベルの冒険者や警察が死の覚悟を賭して参加するのよ。アンタみたいなチンピラがやったらすぐさま死にかねない。だから、私の命令には絶対服従、それが条件よ。無駄死にしたくなかったら、これだけは絶対飲みなさい」
非常に厳しい顔で、ずいっとポポムが睨む。
どうするかなんて考えるまでもない。こんな誂えたような舞台、乗らない理由がない。
「…いいだろう。やってやるよ。精々働いてやる」
ふぅっ、とポポムは息を吐いた。「あの人には敵わないわ…」という独り言が聞こえた気がしたが、俺にその意味はわからない。
「じゃあ、とっとと動くわよ!深夜二時半発のレンドア行方舟で経つわ、それまでに装備を整え、臨戦態勢に入りなさい!」
「は!?たったの一時間で出発!!?いつ寝るんだよ!!?」
「方舟で寝なさい馬鹿!!のんびりなんかさせないわよ、遅れたらガイアをけしかけるわよ!!」
「あ、アイアイサー!!」
あ、やっぱ鬼だこの人。うっかり指揮下に入るもんじゃなかったわ。
点呼の後即転身。俺は装備その他を取りに行くため、深夜営業を続ける銀行へ向かって走り出した。
***
この会話から七時間半後、俺は人生で初の『戦争』に巻き込まれる。
その戦場で何ができたということもないが――俺はそれまでの二年間のあれこれについて、ひとつの決着を付けることになる。
それは、当時十八歳だった俺が人生最大の転機を迎える大事件でもあったし。
同時に、俺と『借金取り』の彼女の関係が終わりを迎える、重要なターニングポイントでもあった。
全く、つい一日前は人生のしょうもなさにくよくよしていたというのに、こんな怒涛の展開が始まるなんて。
人生というやつは全くままならない。
けど、それこそが人生ってやつだ。そう思わないか、諸賢?
返済計画 進捗状況
5日目 金策集計:
0日~4日目(昼)の貯金額 330万9千3百 G
4日目(昼)の食事代 -1千5百 G
4日目(夜)の宿代 -5百 G
5日目(昼、夜)の食事代 -2千 G
5日目の観劇代 -1万 G
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合計 329万5千3百 G
7日目支払予定金額 500万 G
目標金額までの残り 170万4千7百 G
(その6・了 第3エピソード「マシラの舌」完了)
(続き・https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/7501325/)