アオマリモの冒険日誌

＊＊＊

　【被疑者セイスケ・イヌイ所有の魔導機械についての調査資料】
　(ドルワーム王立研究院 賢者ティーザより 世界警察 警視長ポポム への報告資料(概要書))

　１、前提
　　当資料一式は、世界警察より調査依頼された、被疑者セイスケ・イヌイ(通称・『虚ろの呪術王』カワキ)所有の魔導機械(以下『魔導機械』)について、事前の簡易調査(以下『事前調査』)において不明とされた詳細機能の解析結果と、魔導機械内に残された情報について報告するものである。
　　当書面においては、魔導機械の解析において明らかになった事項と、当研究院における共通見解の概要を記載する。詳細な科学解析結果については、別途添付の報告資料に記載する。

　２、魔導機械の主機能についての見解
　　魔導機械の主機能についての見解は、事前調査における結論――『極めて高度な計算機』である、という結論と同一である。
　　中央演算処理装置のクロック周波数(概算値)は２．０ギガヘルツ程度と見積もっている。(資料『魔導機械の構造解析結果』を参照)

　　参考として、デジタル理論に基づいた計算機は、当研究院においても試作機が複数開発されているが、中央演算処理装置のクロック周波数は最速で７ヘルツ程度であり、大規模な科学解析等への利用に耐えるものは開発できていないのが現状である。
　　そもそも、デジタル理論に基づいた計算機自体が世界的に未発達な研究分野であり、明らかに当研究院と無関係な魔法使いが、当魔導機械ほど高度な計算機を制作できたことが、大いに驚異的である。

　３、魔導機械の用途についての見解
　　魔導機械の用途についての見解は、『デジタル信号化した魔法陣の設計』であると推測する。

　　デジタル理論に基づいた計算機の世界的な研究意図としては、単一呪文の行使や手書きの魔法陣では達成困難な、複雑な魔法構築式の設計へ利用することにある。
　　被疑者セイスケ・イヌイは当魔導機械を用いることで、高度な魔法構築式設計を世界に先駆けて実現したと考えられる。

　　また、当魔導機械の記憶装置から、４０９６京桁の数列が５列抽出された。
　　該当する数列を連結してデコード解析した結果、円形の魔法陣が記された画像データ(注：デジタル信号化した写真のようなもの)を出力した。当魔法陣について、当研究院保管の魔法陣辞典と照会した結果、アストルティア銀行所有の『ゴールド及びアイテムを指定地点へ転送する魔法陣』(ルーラ系統魔法)と一致した。
　　以上より、当魔導機械については、上記の『ゴールド及びアイテムを指定地点へ転送する魔法陣』を元手とした魔法構築式を設計していたものと推測する。魔法陣の性質から、設計していた魔法構築式についても、なんらかの物体を転送または召喚する魔法であると推測する。

　　なお、完成形の魔法構築式と思われるデータは抽出されなかった。前述の数列以外にも長大な数列が記録されていることから、設計が未完のまま魔導機械の使用が停止されたと考えられる。
　　(資料『魔導機械の記憶装置解析結果』を参照)

　４、設計中の魔法構築式についての見解
　　設計中の魔法構築式についての見解は、前述の通り『なんらかの物体を転送または召喚する魔法』(以下『召喚系魔法』)である。当項目では、その具体的な機能についての見解を示す。

　　『ゴールド及びアイテムを指定地点へ転送する魔法陣』の数列とは別に見つかった数列についてデコード解析した結果、以下のようなキーワードを抽出した。
　　　・『土』
　　　・『岩石』
　　　・『水』
　　　・『塩』
　　　・『草木』
　　　・『球』
　　特に、『水』と『塩』に類するキーワードが全体の約７割に及んだ。(資料『魔法構築式の解析結果』を参照)

・続き：
https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/7622133/