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自宅の菌類

アオマリモ

[アオマリモ]

キャラID
: RU977-303
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

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アオマリモの冒険日誌

2023-11-07 21:53:01.0 2023-11-07 22:21:33.0テーマ:その他

街談機関 その7「勇魔跳梁」56


 俺は今になってやっと、呪術王の聡明さに舌を巻いた。
 呪術王の話は、全部本当だろう。この島に集った何もかもが、『メルトア』という影の思惑通りに動いているなら、俺と呪術王の戦いも、闘鶏やコロシアムの賭け試合とそう変わらない。
 そんなにも、顔も見えない誰かの手の内で踊り狂っておいて、恥ずかしくないのか?と、そう言いたいのだろうさ。

 あえて言おう。どうでもいいと。

 「俺がここに立ってるのは、極めてシンプルな目的のためだ。影がどうだのなんだの、俺にとっちゃどうでもいい」

 「――なんだよ、目的ってのは」

 「大した話じゃない。屈辱を受けた相手には、わき目も振らず拳骨かましてやるって決めてんだ。そのためには戦場くんだりまで来るやつがいるって話」

 「そうか、くだらないな」

 「メ…例の女については同感だよ。助けられたとはいえ、あいつを色々問い詰めたいのは俺も同じだ。ただ、それはお前との喧嘩をやめる理由にならないってだけだ」

 「……」

 「お前の『野望』の仇は俺が取る。だから、とっととくたばれ」

 俺の勝手な宣言に、呪術王は怪訝そうに眉を上げた。特に感想はなかった。

 もう、言いたいことはそんなに残ってないが。あとひとつだけ、懸念を片づけておこう。

 「ちょーっと、引っかかってることがあってな…お前、俺がガタラにいるっていうの、どうやって調べた?」

 「……そうだな、お前の頭に『数列』を埋め込んでいたことは、もうわかってるんだろ。簡単に言えば、その魔力の痕跡をたどった。世界の反対側にいても探知できる。わかるのは村とか町とか、大雑把な座標だけだがな。あとは歩いて、『数列』を宿す人間を目視で探すしかない」

 それがどうした?と、呪術王が視線で疑問を投げかける。

 ああ、わかった。もういい、たくさんだ。いい加減にしろよこの野郎――

 「……魔法を使わないと俺を探せなかったということは、てめえ――俺の顔を『覚えていなかった』な?
  おかしいと思ったんだよ。昨日の昼、図書館で思いっきり顔を合わせておいて、その場で襲わなかったのは……」

 「…あ、ああー。そうか、そういえばいたな、あの図書館に。なんだ、目の前に『数列』があったのに、俺はスルーしていたのか。そりゃあ、おかしいと思って当然だ」

 素っ頓狂な声を上げて、呪術王が素直に驚いた。怨嗟にまみれた先刻からは想像もつかない、さわやかな表情だった。

 「確かに不思議だ、なぜ視認したのに『数列』に気付かなかったのか…ああ、くそ。きっとそれも、あの女の仕業だな。鉄の箱に携帯電話を入れるようなものか…魔力検知を妨害する策なんていくらでも…」

 「――後学のために、一個言っておくよ」

 自分で奥歯を噛み砕くかと思うほどの歯ぎしりを、渾身のチカラでこじ開けて、俺は声を絞り出した。

 「大抵の奴はな――顔もろくに覚えてない奴に殺されかけて許せるほど、ヒトができちゃいないんだよ!!」

 俺は拳骨を握って、咆える。

 「ぶち殺してやる!!!」

 「――初めて、意見が合ったな」

 呪術王は、不気味なほど表情を変えず、冷えた視線で俺を舐めるように見下ろした。
 呪術王が大人しく会話に付き合っていたのは、何も怒りが収まったからではない。ここまで会話していたのは、最後に残った理性の上澄みだ。
 奴はその実、態度や表情に反映する余力がないほど――ブチギレていた。

 「俺も、お前をミンチにしてやりたいんだよ!!!」

 バンッと、脚を踏み込む音が二つ、倉庫に響いた。

・続き:
https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/7636355/
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