前回は・・難関クエストに一人で挑むシュリト しかし 岩山に溢れかえる魔物を前に撤退を余儀なくされる
シュリトをなんとか助けるミカウは シュリトの過去について聞き出そうとする
そして ついにシュリトの口から その過去が伝えられる
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シュリト「教えてやるよ 俺がパーティーなんてものを信じられねぇと思う理由をな」
「俺は 冒険者になって程なくして あるパーティーに入った」
「そのパーティーは 居心地のいいパーティーで いろんなクエストをやるごとに自分の腕も上がっていったし パーティーの絆も深くなったように感じた」
「だが・・ ある時」
「魔物の大群と戦った時 俺は仲間と共に群がる魔物たちを次々倒していった」
「だが どんどん群がる魔物たちの数が増える中で パーティーの中でも後ろ向きになるやつもいた」
「俺はそいつらを鼓舞しながらも 魔物と懸命に戦った だが 他の仲間たちは 魔物に囲まれて 形勢が悪くなると 一目散に逃げ出したんだ」
「それっきり そのパーティーとは 連絡がつかなくなった」
「まぁ こんな奴らも世の中にはいるだろうと その件は忘れて また別のパーティーに転がり込んだ」
「そのパーティーでも いろんなクエストを経験してきた」
「だが・・・ 忘れもしないぜ・・ あの時だ・・」
「ある クエストで魔物の軍団の討伐に出た時 親分の魔物がなかなかに強かった」
「他の仲間たちもやられいく中で 魔物がトドメに一撃を放とうとした」
「ターゲットになったのは かなり深傷を負ったやつで その一撃を喰らえば間違いなく 命はないような 攻撃だった」
「気づいたら俺は その仲間を庇うように そいつの前に飛び出した そのおかげでそいつをなんとか突き飛ばすことができたが 代わりにできた隙をつかれて 俺はこの通り 腕にガッツリと相手の剣を喰らっちまった だが そのまま 押し切って魔物を倒した そして 残党も一匹残らず倒した」
「そうして なんとか倒し切ったぞと 後ろを振り返った時 そこには 誰もいなかった」
「奴らは 魔物に恐れをなして 逃げ出したんだ」
「今思えば 確かに 押し込んでいる時に 仲間たちが一目散に反対方向に走り去っていくのが見えたよ」
「最後まで命張って戦ってたのは俺だけだったんだ・・・」
「命懸けでまもってやったやつにまで見捨てられちまったのさ」
「その時にわかったよ なんだかんだ言って 表向きは仲良しにやっても いざ自分の命が危うくなれば 最後に可愛いのは自分だけだってことをな」
「人を信じたい気持ちはあるが どうせ裏切んだろって 気持ちの方が強い」
「だったら 俺が人を信じないで一人で戦った方が 何倍も楽だ」
「初めからそうしていれば こんな深い傷が体に残ることもなかったんだよ」
シュリトはそう言って恨めしそうに 腕に傷を見る
シュリト「何をやっても 俺の腕についたこの傷だけは決して消えなんだ・・」
「これで わかっただろう だから俺はパーティなんてものは信用できない」
ミカウ「そうか・・」
「それは辛い経験だったな・・」
「なあシュリト 同じ状況になったら 俺たちもお前のこと 見捨てると思うか?」
シュリト「ああ・・ 俺はずっとそう思い続けてきた・・」
「だが さっき 俺を魔物で溢れた岩山から 俺を助けてくれた時 何かが動いたよな感じがしたよ」
「所詮 また裏切るんだろうと たかを括っていたからこそ 助け出してもらって 嬉しいような気持ちが・・実はあったんだ」
ミカウ「ふっ」
「仲間ってのはそういうものだ 他のやつのピンチを 自分の体投げ出してでも助けていく」
「今まで シュリトが出会ってきたやつは 真の仲間じゃない」
ミカウ「確かに世の中いろんな奴がいる でも少なくとも 俺たちは クエストキングは そんな薄情な集団じゃない」
「いざという時に助け合える仲間を見捨てちまったら バチが当たるどころの騒ぎじゃないからな」
そう言ってミカウは立ち上がるとシュリトに背を向けて二歩 歩いた
「それが信じられないなら ついてこい 俺たちは今から 例のクエストの岩山を攻める」
「そこで 本当の仲間ってもんを見せてやる」
「そこでみたものがシュリトの思う仲間じゃないなら もう金輪際人は信じなくてもいい」
「だから・・・」
ミカウはシュリトを振り返った
ミカウ「お前の古傷の手当 一度だけ クエストキングにやらせてくれないか?」
シュリト「全く お人好しもここまでくれば 反論の言葉がないな・・」
「わかった・・ この背中・・預けていいんだな」
ミカウ「ああ・・」
そう言ってミカウたちはそのまま歩いていった
シュリトはその背中を 少し口角を上げてみていた