「なっ…! えっ………!?」
アーミラはひどく混乱していた。
無理もない。
意識を取り戻したあと双子と対面…と思いきや、そこにいたのは魔族の少女ではなく、なにやら全身が毛玉のような小さな生き物だったのだ!
「あ、あなた何者ッ…!!」
畏れ多くも貴族の屋敷に侵入者とは。
今から兵を呼んだのでは遅いと思ったアーミラは、片手を振り上げ魔力を放とうとしてーー
ピタッ
止まった。
「なぜあなた、まおんのぬいぐるみを…?」
一瞬考えたのち、思考停止。
姫主の顔はみるみるうちにひきつっていく……。
「……」
「もしかする必要性がない。私は最初からまおんなんだけど」
「……」
「だから、まおんだってば」
「…………」
「はぁ…」
「あっ、戻った」
「まおんんんんん!!」
「ーーというわけで、しばらくの間アストルティアの五種族の一種であるプクリポになっていたのよ。あなた毛玉毛玉言っていたけど、なかなか過ごしやすいわ、あれ」
「所詮は毛玉よ。」
「でもまさか、まおんが私を助けるまでにそんなことがあっただなんて…とりあえずお礼を言うわ」
「別に。あなたが死んだら困るから」
「ふふっ、『ツンデレ』ね。
…もう一眠りするわね。ありがとうまおん」
「お休み」
そう言ってアーミラは寝、
まおんは仕事に戻ったが…
二人がしばらく幸せそうに笑っていたのは、
永遠の秘密である。