時には昔の話をしようか
あの日、故郷のアグラニの町はドワーフで溢れかえっていた。
手元にあるわずかなゴールドを失いたくない一心で、
まさしく死に物狂いで戦った。
少しずつ蓄積されていくスキルポイント、強くなる実感。
早く列車に乗れるようになりたかった、
早く住宅地にマイハウスを持ちたかった、
早く人間になりたかった、あの日から―――6年。
思い出アルバムを開けば
鍵のかかった写真がいくつか残っている。
写っているのは懐かしい人々、
しばらく会ってない顔
もう会うことのできない顔
でも、消すことのできない大切な記憶のあかし。
オンラインゲームは
未来に期待し、今を遊ぶゲームだと
どこかで聞いた。
でも、今日だけは
どうか思い出に浸ることを許して欲しいんだ。
さぁ、
時には昔の話をしようか