※なりきりの一環です。苦手な方はここでお閉じ
下さい。
開けた場所へ出た。今までと打って変わって、一面
真っ白な世界が広がっている。辿り着いたのだ。
ついに冥界の最奥へと辿り着いたのだ。
長かった。ああ、ついに。やっと。辿り着いたのだ。重かった足取りが、スッと軽くなる。
さあ、冥界の主とやらに会いに行こうではないか。

居た。あれが恐らくその冥界の主なのだろう。
仰々しい見た目から、すぐに分かった。
私は彼に問うた。フロディッテという人物に心当たりはないかと。
「フロディッテ……ふむ、彼女はもうここにいない」あっさりと、そう言った。余りにもあっさりと。

冗談だ。きっとそうに違いない。だって私は全てを
捧げたんだ。片目を失い、死のリスクをも顧みず、
悠久に続く辛く厳しい道程を踏破したというのに。
まさかこれでも足りないというのか?
こんなの、こんなの神も仏もあったものじゃない。
ああ。ああ。世の理に抗った私に罰が当たったとでもいうのだろうか。そうだ。なるほど。私が悪いのか。そもそも私がこんな無謀で罰当たりで、生命に対する冒涜のような行動に出なければ、こんな結果には
ならなかったはずだ。彼女は思い出のままでいれた
はずだ。なのに冥界にすら居ないなんて。もうどこを探しても存在さえしていないなんて知りたくなか
った。私は今彼女の心配を一切していないことに気が付いた。なんて独り善がりだろう。所詮はこの恋も
自分のエゴの塊だったというわけか?ああ、くそ。
つくづく自分が嫌になる。
もう、余計なことはしない方が良いんだ。
それが一番いい。