私は愛を知らない
誰も私を愛してくれなかったから
興味もない
だから知る必要もない
「本当は欲しいんでしょ?」
もう ひとりの私が
そう ささやく
要らないよ
私には不必要だ
普通を知らないと言う人に出逢った
偏屈で変わり者で
明らかに普通ではなかった
愛を知らない私も
ある意味では普通を知らない
だから私は彼に興味を持った
関わってみて気づいた
とても弱くて もろくて
少し触れれば壊れそうな
繊細な人だった
そんな彼の涙を止めたくて
思わず彼を抱きしめた
優しくない この世界
「つらかったね
悲しかったね」と言って
彼に同情してあげた
人の支えがなければ生きられない
そんな身体を彼はしている
だから私は支えてあげた
料理を作ってあげて世話を焼いてあげて
そうしなければ
彼は生活ができない
なるほど
これでは普通を知る機会がない
なら
私は彼に普通を教えてあげよう
なぜ
そう思ったのかは わからない
愛を知らない
その意味で普通を知らない
もう ひとりの私に
出逢ったからだろうか?
欠けて居るなら埋めればいい
彼に普通を埋めてあげればいい
関わっている内に気付いた
私は 人を
からかうのが好きだ
彼は ちょっとしたことで
すぐ うろたえてくれる
こんな
からかい甲斐がある人は
他に知らない
ムチャな女装させて遊んだり
嫌いなケーキを言葉巧みに
ごまかして食べさせたり
うまく言えば
なんでもしてくれそうだ
だから私は彼で遊んだ
そうやって接して居る内に
芽生えた感情がある
私は
この感情を知らない
感じた経験がなかった
なんだろう これ?
貴方と居ると起こる
この現象は?
私は
これを知りたかった
だから彼の傍に居た
眠れない夜 彼と過ごした
なぜだろう
私は自分の悲しい過去を
語り始めて居た
誰にも愛されたことがないこと
愛を知らない
普通の人間ではない事
話している内に
私は泣いて居た
欠けている
私は欠けている
こんな人間が居る?
誰だって愛くらい知っているでしょ?
私は それを知らない
だから普通じゃないんだ
こう感じて私は気づいた
目の前に普通を知らない
人間が居る
私は泣きながら微笑んで
「・・・私たち
どっちも欠けているね?」と
言葉にしていた
彼は私を慰めようと
言葉を探していた
やめておきなよ
普通を知らないんだから
元気づけられる言葉を
かけられるわけがない
その弱さに私は惹かれた
愛を知らない人間
普通を知らない人間
私たちは
どっちも欠けている
欠けて居るなら
どうすればいい?
ある日 彼に問い詰められた
「どうして
僕に そこまでしてくれる?」
貴方から感じる
この感情を知りたいからだ
なら どう伝えればいい?
だから私は正直に話した
せめて 少なくとも
この感情が何か
わかるまででいいから
貴方の傍に居てもいいですか?
貴方は抱きしめて
「居てもいいよ」と答えてくれた
だから
私も また 笑うことができた
欠けて居るのなら埋め合えばいい
私が普通を教えてあげる
だから貴方は私に
この感情を教えて
この感情を知らない私に
この感情を
きっと私は気づいている
人は これを
愛と呼ぶんでしょ?
誰も私に愛をくれなかった
貴方は私に愛をくれた初めての人
悲しい過去も初めての想いも
全部 受け止めてくれた
貴方としたセッション
貴方の歌詞に私の曲を重ねるの
二人だんだん感じた想い
きらめく想いが1つ
貴方の歌声に私のメロディーを
重ねるの
歌詞が色付いて
曲と混じって
メロディーに表情がついて
1つの物語になっていく
私にできないことを貴方はできる
貴方にできないことを私はできる
欠けているのなら埋め合えばいい
そう生きて行こうね