レニィアーゼの冒険日誌

精神病院で出逢った青年と少女
どちらも精神障害者だった

少女は最初は
ただの興味で青年に関わったが
次第にお互いが惹かれていく

関わっている内に
いくつも共通点があった

精神障害者であること

まともな人としての生き方が
できなかったこと

入院生活が互いに長すぎて
恐ろしいくらいの世間知らず
だと言う事

そして


　　　どちらも何もないこと


やがて
お互いを想い合うようになって
青年と少女は恋人同士になった

「精神障害者が
　幸せになれるとは
　思ってなかった」

涙を浮かべ微笑みながら
うれしそうに
青年に　そう言う少女

幸せな日々は続かなかった
少女は担当医から
余命を告げられてしまう
生きられて１年

少女は幸せに死ぬために
青年に最期の　お願いをした

青年と少女　二人の夢

精神障害者の二人が
旅行に行くと言う事

そのために
精神病院から脱出した

様々な場所に行って
様々な物を見て来て

そして
最期を迎えた時の
少女の青年に対する
最期の願い




余命１年の私
最後の望みを叶えに
最初で最後の旅行
大好きな貴方と一緒に

二人で創りたい物があるんだ
二人の大好きな物で
埋め尽くした物語
どれも「夢がないね」って
笑ってた

列車で行けるところまで行って
遠くに行きたいな

海を見に行って
貴方と触れ合って
貴方を感じて
貴方に抱かれて

最後くらい私の
わがままに
つきあってね？


私には何もない
・・・何もないまま
・・・死ぬのかな？
でも
貴方は言ってくれた

「何もない事が幸せなんだよ？」
　その方が純粋に生きられる
　何もない真っ白が
　人を純粋にさせる」と

私には何もない
何もないことが
ステキなんだよ？って
そう言われて嬉しいの


貴方は私に言った

「君は本当に死ぬの？」

だから私は言った

「全部ウソ」

最後のイタズラ

貴方は私に

「そのウソが
　本当だったら良いのに」と

泣きながらそう言った


１年後の私へ
心は満たされていますか？

大好きな貴方に抱かれて
幸せに死ねていますか？

きっと
貴方を置いていくことになるね

貴方は生きられるのだから
幸せに生きてね？