レニィアーゼの冒険日誌

僕の名前はツナグ
両親に
そう名付けられた


”すべてを
　ツナゲますように”


そう願いを込められて
僕はツナグになった

でも
ツナグって何を？

僕には
それが
わからない

鬱陶しかった
欠けている僕に
こんな大層な名前を
もらったって
何ができると言うんだ？


通学路

「おっはよ～」

「今日も良い天気だね～」

「それで
　今日の数学の授業なんだけどね」


・・・


僕は
あういう話に
加わることができない


中学時代

「ドラマの
　あのバカ女
　最悪だよな」

「すぐ
　頭がおかしくなって
　取り乱しやがってさ」

「あんな女が居るから
　女って
　信じられなくなるんだよな」


そうかな？


「あ？」


苦しんでるんだと思う
悲しんでるんだと思う


「・・・」


苦しいって
悲しいって
伝えるのが不器用で

自分がおかしいって
表現するしか
伝える方法がなくて


「・・・・・」


だから
取り乱してるのは
不器用の表れで


「お前
　もういいよ」


え？


「お前
　いつもみんなと
　違う事言うんだよ？
　ズレってるって言うかさ！」


・・・そんなつもりじゃ


「・・・お前さ




　　　　　　　　　消えちゃえよ




・・・




　　　　　　　　　回想　終了



きっと
僕は欠けているんだ
激しくズレている

こんな人間が
ツナグなんて
できるわけがない

「ツナグ～」

ツナグ「カナデ？」

カナデ「一緒に学校に行こう？」

ツナグ「・・・」


神社

ツナグ「まだ学校まで
　　　　時間があるからって」

カナデ「大丈夫　大丈夫
　　　　ねえ　見せてよ？
　　　　いつものやつ」


　　　　　　カナデにノートを渡す


カナデ「・・・フムフム」

　
　　　　　　　夢に居るような
　　　　　　　幻想に居るような
　　　　　　　幸せな想いで溢れて来るの

　　　　　　　想いに咲いたよ？
　　　　　　　心に住んだよ？
　　　　　　　貴女と私の想いたちが

　　　　　　　壊れて居て良かった
　　　　　　　そうじゃないと
　　　　　　　出逢えなかった

　　　　　　　この事に心から
　　　　　　　感謝しよう

　　　　　　　どうしてだろう
　　　　　　　こんなにも愛しい

　　　　　　　どうか　おねがい

　　　　　　　一瞬だけじゃイヤだよ？
　　　　　　　永遠がほしい



カナデ「なるほどねぇ
　　　　これが恋をしたことのない
　　　　人間が書ける恋の歌か」

ツナグ「・・・バカにしてる？」

カナデ「誉めてるんだよ？」

ツナグ「そんなに楽しい？
　　　　僕の詩を見るのが？」

カナデ「楽しいよ？
　　　　普通の人とは違った視点で
　　　　見ることができるんだもん
　　　　ツナグって
　　　　なにか斬新」

ツナグ「・・・



　　　　　　・・・欠けているだけだって



ツナグ「その感性が理解できないよ」

カナデ「皆にも見せれば良いのに」

ツナグ「誰に？」


　　　　　　ツナグの中学時代のことを
　　　　　　思い出して
　　　　　　失言だったなと気づく


ツナグ「カナデもズレてるよね？」

カナデ「なんで？」

ツナグ「僕に関わる物好きなんて
　　　　カナデくらいだよ」


　　　　　　　うつむいて

　　　　　　　下を向いてしまった


ツナグ「・・・痛いって
　　　　両頬をつねらないで？」

カナデ「卑屈だからな
　　　　そこを直したら
　　　　ツナグは　もっと
　　　　魅力的だと思うよ」

ツナグ「・・・そんなこと」

カナデ「そうだよ？
　　　　どのくらいかと言うと


　　　　　　すべてを

　　　　　　ツナゲる

　　　　　　くらいにはかな


ツナグ「・・・また僕の両親から聞いた
　　　　僕の名前の由来で
　　　　イジって遊んでるでしょ？」

カナデ「そんなことないよ？」

ツナグ「・・・もう
　　　　やめてくれよ



　　　　　　　・・・大嫌いなんだよ

　　　　　　　・・・自分の名前が