レニィアーゼの冒険日誌

　　　　　　ヴェルは

　　　　　　先に帰ったよ



夜２２時　帰り道


　　　　カナデと

　　　　二人で歩く


「どうしても
　帰らなければいけない
　用事ができたって」


あれほど
打ち上げしようと
言っていたのに？


「すごかったね
　路上ライヴだったはずなのに
　ライヴハウスで
　曲を披露するなんてさ

　しかも
　５０人も居る
　お客さんの前でね」


・・・


「バンドってすごいね
　奏で次第で


　　　　　あんなに

　　　　　興奮して叫んだり

　　　　　魅了されて
　　　　　言葉を失ったり

　　　　　感動して
　　　　　涙を流したり


「いろんな顔を
　してくれるんだね」


そうだな


「あと
　奏でている時の

　みんなとの一体感
　興奮　心のザワつき

　あんなの
　味わったら



　　　　　　　また
　　　　
　　　　　　　やりたくなっちゃうよね


そうだな


「だから
　しよう？」


え？


「・・・



　　　　　私と

　　　　　バンドしよう？



・・・


「イヤ？」


僕でいいの？


「・・・



　　　　　　ツナグじゃないと

　　　　　　イヤだ


・・・カナデ


「・・・



　　　　　みんなの

　　　　　音が救ってくれる



「私の曲にさ
　あんな
　ステキな歌詞を
　創ってくれて
　ありがとう


・・・その



　　　　　　純粋で

　　　　　　つくられたような

　　　　　　その

　　　　　　笑顔はなんだよ？



・・・


「ヴェルも
　誘ってみてさ

　あと
　ベースとドラム

　う～ん
　欲を言えば
　キーボードも
　欲しいなぁ」


バンド名は？


「・・・う～んと


　
　　　　　　夜空を見上げる


「今夜は
　月が欠けているね」


そうだな


「じゃあ
　バンド名は




　　　　　　　　”欠けている”




「で　どう？」


・・・安易すぎない？

まあ　いいや
僕にピッタリの名前だ


「どこが？」


僕は
人として
欠けているから


「・・・



　　　　　それは

　　　　　欠けていない



・・・


「っていうか




　　　　　　欠けて居ない

　　　　　　人間なんて居ない




「だから
　それはある意味
　欠けていない」


・・・どっち？


「月が
　欠けているから
　バンド名を
　”欠けている”に
　したんじゃないよ？




　　　　　　人間って

　　　　　　みんな

　　　　　　欠けているんだよ



　　　　　　だから

　　　　　　”欠けている”は

　　　　　　”人間って言う意味”




「その
　欠けている
　私たちを
　補い合っていくの

　それが
　このバンド名の
　由来だよ？」


・・・


「は～い
　じゃあ
　バンド名は
　”欠けている”に
　けって～い♪」


・・・僕の
考えたバンドの
名前もあるんだけど？


「ツナグは
　私の下僕だから
　従うしかないんだよ？」


だから
いつから
そうなったんだよ！？


「（・・・）」

「（・・・君が
　　いけないんだよ？

　　君が
　　あのとき
　　私に



　　　　　歌と

　　　　　歌詞を

　　　　　魅せたから


「（・・・


　
　　　　　　・・・君の

　　　　　　・・・せいだよ？