「…お~い。セ~クスィ~?」
アカックブレイブが開けた大穴を覗き込み、困惑するティード。うっかり母親の自分よりもハクトとハクギンの救出に気合が入っているのではなかろうか。
「さてと。もたもたしてらんないわね。ん~…使ってみるか」
道中、セ~クスィ~から魔装の手ほどきは受けていた。曰く、魔装の形状はある程度のベースがあるものの、初めてその身にまとう際、使用者本人のイメージで形が決まるのだという事。既に過去、旧式ベルトを用いた事のあるセ~クスィ~と異なり、ティードの魔装がどのような姿に仕上がるのか、セ~クスィ~にはもちろん、作成者であるおきょう博士にすらそれはわからないらしい。
「イメージ、イメージ、う~ん…ええい、ままよ!ドルセリンチャージ!」
普段はドルボードに注入するドルセリンをベルトに差し込む違和感を振り切り、思い切って大穴に飛び込む。
「魔装展開!!」
重力に身を任せながら、ティードは魔装展開の金色の光に包まれた。脳内に強くイメージされたのはやはり友であるセ~クスィ~の変身したアカックブレイブの姿。それを基調としながらも、ティードの髪と同じ金色に包まれたボディアーマー。黄金とマッチする深い紫を基調としたスーツに、両手足には動きを阻害しないよう控え目ながら、もとより挌闘戦を得意とするティードの趣向に合わせ、打撃力を向上させるガントレットに、レッグガードが形成されている。ハクギンブレイブに比べ随分と装飾がシンプルなのは、やはりティードが装飾美よりも機能美を重んじる傭兵あがり故であろうか。
「これはなかなか。って、ちょっとどんだけ深いのよこの穴!?」
風を斬る落下音とともに、ティードの絶叫が響き渡った。
続く