本日誌は蒼天のソウラを題材とした二次創作となります。個人的な設定改編を多々含みますので、ご容赦くださいませ。
なお、『ドルブレイブ・アッセンブル!』の最中に掲載した『着せ替え狂想曲』の直接的な続編になりますので、よろしければあわせてご覧下さい。
『RE 着せ替え狂想曲』
「来た来た来た!これこれ、この反応を待ってたんですよっ!!」
本棚を埋めつくし、その上なお床すら覆い隠してしまおうかという勢いで、古めかしい種々多様な学術書が積み重なった薄暗い部屋。
中央に置かれた大きな骨董品の鍋から、淡いピンク色の光が迸る。
鍋に満たされた渦を巻く虹色の液体から、ゆっくりと登り出ずる1本のスティック。
それを狂気とも見える笑みを浮かべながら掴みあげた長髪の魔導士の名は、ブラオバウムと言った。
数日後。
「お久しぶりです、マージンさん」
絵に書いた様なニコニコ顔を浮かべながら、ブラオバウムは冒険者にして爆弾工作員(ボムプロフェッショナル)のマージンのマイタウンを訪れていた。
「よぉ、誰かと思えば、バウムさんじゃないか!」
突然の戦友の来訪に驚きつつも、暖かく迎え入れるマージン。
マージンも今や、海底離宮の一件の稼ぎで複数の家屋を持つ身、加えてもてなしの準備もある、出来れば事前連絡が欲しかったと思いつつも、ゲストハウスのリビングへブラオバウムを通す。
「いい香りだ。ポポリアきのこ山産の茶葉ですね。さすが、良い物をお使いで」
「さすが博識でいらっしゃる。お口に合えばよろしいですが」
マージン邸のコンシェルジュ、フライナの運ぶ紅茶の産地を香りだけで言い当て、気品高い所作でカップを口へ運ぶブラオバウム。
「う~ん、やはりこの茶葉は、まるで燻製のような豊かな渋みがたまりませんねぇ」
ブラオバウムは熱い湯船に浸かった老人の如く蕩けた表情を浮かべ、紅茶を堪能すると、懐から1本のスティックを取り出した。
「今日はちょっと、ご報告をしたい事がありまして」「バウムさん、これは…?」
「よくぞ聞いてくださいました!」
マージンは、そりゃ聞くでしょうよ、というツッコミは心に秘めて、先を促す視線を送る。
「苦節1ヶ月、私この度、ついにリポさんの着せ替え魔法の再現に成功したんですよ!」
ヴェリナードでマージンを襲った、ポップな悪夢からまだたったの1ヶ月。
マージンのまだ癒えない心の傷にカラシを塗るが如く、満面のアルカイックスマイルを浮かべたブラオバウムであった。