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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-11-26 23:26:32.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作 『幻列車の浪漫』その25

「うん、いいね。とってもいいね」
アクシデントで長引いたとはいえ、一年前、テルルがガタラに滞在できたのはそれでもほんの僅かな時間でしかなかった。
その時間を目一杯使っても、ソワレに教えることが出来たのは基礎の基礎のシンプルな発声練習のみ。

しかし一年ぶりに聴くソワレの歌声は、しっかりと練習を真っ直ぐに続けた成果が実を結んでおり、お世辞でなくテルルはその旋律に瞳を閉じて聴き入った。

正直テルルにも信じられないほどだが、既にExtEのバックコーラスに迎え入れると言っても、他のメンバーからの異論は欠片も出ないだろう。
この調子で練習を続ければ、ソワレの願い通り、アストルティア中に名を轟かせる人気歌手になれるに違いない。

後進の成長を素直に喜びつつも、テルルの脳裏にはある不安が去来する。

「ソワレちゃん、もう体は大丈夫なの?」

先程のハクギンの説明も、いまいちテルルにとって要領を得なかった。
なし崩し的にやってきてしまったが、はたしてこの場所は一体何処なのか。

ソワレが入院していたのはガタラの病院だった。
実際、ソワレが今も身に纏うのは、簡素なデザインの入院着。

しかし、自分の方は直前までアズランにいたはずだ。

「うん。ここに来てから、全然苦しくないの。お兄ちゃんも調子いいみたい」
「そっか…」
ロマンとマージンなら、きっとここが何処か知っている筈だ。
なにも慌てて確認することでは無い。

そういえば、成り行きでマユミも巻き込んでしまった。
今更ながら、謝らないと、と心の中のやる事メモにしたためつつ、再び歌い出したソワレの歌声に微笑みを浮かべ耳をすますテルルであった。

不死鳥は死して燃え尽きた後、自らの灰の中から眩い姿で舞い上がるという。
「地味って言葉は取り消してもらうぜ少年!」
未だにブツブツと小声で闇を深めるマージンを尻目に、ロマンは高々と腰に下げていたポシェットの中身を掲げる。

「何それ!?カッコいい!!!」
「フッフッフ。そうであろうそうであろう」
鼻がニュッと伸びたかの如きしたり顔でキメるロマン。

ロマンの手に握られていたのは、魔法建築工房『OZ』のクリスマス商戦の切り札にして、マーケティング部門と量産部門と大棟梁ロマンとの間で泥沼のコスト調整戦争の火種となっているアイテム、『完全変形!緊急駆動ドルセリオン』のテストモデルであった。

「凄い!カッコいい!!何ですかそれ!?」
変形合体ロボにときめかない男子はいない。
例外なく、アジロのみならずハクギンすらも喰い付いた。

「あれ?ハクギン君はてっきりセ〜クスィ〜さんとこの関係者かと思ってたけど…知らない?ドルセリオン」
「あ、はい、ロマンさんもセ〜クスィ〜さんをご存知なんですね。セ〜クスィ〜さんは僕の…なんていうか…恩人、といいますか…。とにかく、僕はドルブレイブの正式メンバーではないので…」
「なるほど。ならば、まとめて説明してしんぜよう。緊急駆動ドルセリオンとは!!」
ハクギン、アジロはもちろんの事、マージンやレオナルドまでも瞳をトゥンクさせ、正座の構えでロマンの説明を待つ。

「超駆動戦隊ドルブレイブ、五人の勇気が同調しドルセリンの秘めたるポテンシャルを引き出した時!五人のドルボードが変形合体して顕現する、巨大人型駆動兵器なのだ!!」
「「「「おおお〜っ!!!」」」」
男の子たちの黄色い歓声が噴き上がる。

「それを今回、我が魔法建築工房『OZ』がノンスケールフルアクションフィギュアとして再現致しました!」
「それは一体何処で手に入るんですか!?」
すかさず問いただすマージン。

「良い質問をありがとう!『完全変形!緊急駆動ドルセリオン』は全国の『OZ』サテライトショップならびにドラキーメール便を利用した通信販売『プレミアムOZ』にて受注生産販売予定です!期間内に予約頂けば必ず手に入ります!だから転売の品には手を出さないでね!」
宣伝をキラッとウィンクで締めるロマン。

「あっ!大事な事を忘れてた!!」
そして言葉と裏腹に白々しいまでの棒読みで、ゴソゴソと一枚のチラシを広げる。

「『プレミアムOZ』限定、ドルセイバー&ドルキャリアセットも販売致します!」
ロマンがポシェットから取り出したチラシには、ドルセイバーとドルキャリアを装備して悠然と佇むドルセリオンのイラストと、赤字で大きく『監修中』の文字が刻まれている。
「くうッ!これはティードさんにお小遣いの前借りを申請するしかないぜっ!」

やんややんやと盛り上がる男の子たち。

「…本当に何なのよこの茶番は」
本家ドルセリオンの事はカッコイイと思いつつも、目の前の展開には呆れてついていけないマユミであった。
                                続く
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