『………どうもこんにちは、大魔王アカックです。バッチリ聞こえてるぞお前たち』
『………人間大砲に、マッドサイエンティストねぇ。そんなふうに思われてたなんて。ざ・ん・ね・ん・だわぁ。手元が狂っちゃいそう♪』
「「ほげえッ!!!」」
スカイドルセリオン、合体したジェットバードの天面部分は狙撃の精度を上げる主目的のもと、各種センサー系を満載したレドームも兼ねている。
超遠距離の通信傍受もまた容易くこなす。
あくまでも穏やかな口調ながら凍り付いてしまいそうな殺気と、スカイドルセリオンからのロックオンアラートがヘルメット内に鳴り響き、戦慄するダイダイックブレイブとアオックブレイブ。
「さぁ、真面目に働きましょう!ダイダイックさん!」
「そうだねアオックくん!いつも通り真面目にね!」「了解!」
「さて、まずは露払いだ」
ヘルメットの中で上唇をぺろりと湿らせると、ダイダイックブレイブの駆るドルダイバーが先行する。
たちまち押し寄せるグレネーどりをギリギリまで引き寄せ、ほぼ垂直に急上昇をかけるダイダイックブレイブ。
必死に追随するグレネーどりを尻目に、限界高度に達したダイダイックブレイブは反転転身、自らに向かって一直線に連なるグレネーどりを一挙両断にブーメランで斬り伏せる。
その間に、アオックブレイブは護衛に展開されたキラーマシンを愛機ドルトラベラーのウイリージャンプで踏みつぶし、刀身を迸らせたフォトンブレードでX字に蒼い軌跡を描き、マッドファクトリーの頭部を胴から切り離した。
「よし、タイミングバッチリだ!!」
宙を舞うマッドファクトリーの頭部を、ダイダイックブレイブはドルダイバーをドルセリオンの腕部に部分変形させてまとった巨腕で受け止め、そっと地に降ろした。
28号の存在が確認されたことにより、かねてからのセ~クスィ~の要望通り、マッドファクトリーに対するオペレーションは変更となった。
SBシリーズもまた、機械仕掛けでも心を持つならば、超駆動戦隊ドルブレイブが守るべき大切なアストルティアの命。
横たえた頭部のハッチを、ドルセリオンアームでそっとこじ開ける。
隙間が開くと同時に飛び出してきたガチャコッコを、ダイダイックブレイブはドルセリオンチョップで黙らせた。
「聞こえてるか?おきょう博士、アカックブレイブ。今回は外れだ。頭部内にSB個体は確認できない」
『了解した。忙しい中、すまなかったな』
「なんのなんの、また何でも言ってくださいよ大魔王様」
『また会う時を覚悟しておけ』
無事マッドファクトリーを討滅したことよりも何よりも。
今回は犠牲になる命が無かったことを喜び合う面々であった。
続く