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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-12-09 16:37:39.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『決意の夜に』その13

「さあ、始めようか」
クアドラピアーを携え悠然と佇む目の前のヒッサァの姿が、さながらそびえ立つ山のように感じる。
ブレイブジュニアのスーツをまとってなお、自身とヒッサァの力量の違いをまじまじと見せつけられたようで怯む気持ちに鞭を打つ。

「…行きます!」
相手は圧倒的強者。
出し惜しみをさせてもらえる身分ではない。
深呼吸の後、剣の柄頭を一度叩き、爆発のエネルギーをチャージした剣を逆手に構えて距離を詰める。
「ボムストラッシュ!!」
刃の放出孔から炎熱の刃をたなびきつつ、右下から渾身の振り上げを見舞う。

「むん!」
容易く避けることができたであろう攻撃を、ヒッサァはあえて柄で受けた。
ギガボンバーのエネルギー、ヒッサァのもとへ駆け寄る際の加速、更にはスーツで強化されたハクトの膂力も乗せた一撃は、受け止めたヒッサァの両足を大きく地にめり込ませる。

ボムストラッシュが防がれるのは折り込み済み。
打ち合った得物の引っかかりを支えに、ボムストラッシュの勢いをそのままにハクトはヒッサァの腰を狙い左の踵を振り抜いた。

手応えはない。
ヒッサァの所在を確認する前に、直感で地を転がったハクトの背後をクアドラピアーが薙ぐ気配がした。
竜巻のような風切り音に、肝が冷える。

再び、向かい合う両者。

時間が巻き戻ったように先と同じ構えをとるヒッサァに対して、ハクトはローリングからの膝立ちの状態だ。

その差は歴然。
そんなことはよくわかっている。
何ができないか、じゃない。
今の僕に、何ができるか。
それを、出し切れているか。

ヒッサァとの冒険の日々を通して学びを得た今のハクトに、焦りはない。
僅かな間に、先程の流れを思い出す。
防がれる前提ではあったが、ボムストラッシュはその威力を大きく削がれた。

そも、この手合わせの目的はコントラクションオーブの効果実証である。
その目論見通りというべきか、オーブは見事効力を発揮しているらしく、ヒッサァに近付くにつれハクトの剣から迸るエネルギーは見る間に減少していった。

だが、完全に消え失せた訳ではない。

「…腹を決めたか」
無骨なヘルメット越しでも、ハクトの雰囲気が変わったのは感じ取れる。
ハクトに考える隙を与えたのはその実、ヒッサァもまた先程の一合においてボムストラッシュを受けた衝撃に腕のしびれを覚え、回復に時間を必要としたからだ。

故にあえて、しびれる腕に無理をおして殺気を放ちつつクアドラピアーで素早く薙ぎ、ハクトを退かせた。
博覧会会場で己の道に惑っていた少年はもういない。目の前に居るのは、ともすればこちらを打ち倒す実力を充分に持ちあわせた好敵手だ。

(さあ、どう来る)
ヒッサァはあらためてしびれを払った両手でクアドラピアーをしかと握り、天地に構え直す。

ひらりと二人の間を落ち葉がたゆたい、視線が僅かに遮られた刹那。

仕掛けたのは、ヒッサァの方だった。
ダン、と地を蹴り滑空するように距離を詰める。

槍をさながら棍のように振るうヒッサァの独特な戦闘スタイルは、護りからのカウンターに特化している。その思い込みにハクトの油断があった。
掬うように跳ね上げられた槍の穂先に絡め取られ、ハクトの剣が宙に舞う。

しかし、決着はまだつかない。
ハクトのスーツもまた、これまでの経験からバージョンアップを重ねている。
手放してしまった剣を追うことはせず、身体の正面で拳を打ち合わせれば、仕込んだマージン印の小型ギガボンバーが火を吹き、ハクトの両腕に推力をもたらす。

ヒッサァの穂先が戻るよりも先んじて、繰り出されたばくれつけん。
その初撃はかろうじて堅牢な護りを抜き、ヒッサァの左胸に突き刺さる。
二撃、三撃、四撃。
残念ながら以降はヒッサァの手繰り寄せたクアドラピアーに弾かれるが、時間は稼げた。

先程、天高く跳ね上げられた剣が、再びハクトの元へと舞い降りる。
伸ばした右手で掴み取り、柄頭に強く左の甲を打ち付ける。
剣に仕込まれた残りの小型ギガボンバーが全て起動、爆発のエネルギーはボムストラッシュとは比べるべくもない長大な光刃を天へと伸ばす。

「ブレイブ!カァリバーーーッ…!!!」
オーブの影響で、光刃はどんどん小さくなっていく。しかし、振り下ろす間には充分だ。
まばゆいばかりの光刃が、陽の光よりも強くヒッサァを照らす。

「…見事!だが、抗わせてもらう!ジゴスパーク!!!」
ヒッサァが地に突き立てたクアドラピアーを中心に、紫電が拡がる。
「「おおおおおおおおお!!!」」
自らもまたオーブの影響を受けながらも、ヒッサァの反撃はブレイブカリバーを遂には受け切り、パァンとひときわ大きく対消滅の音を放って、あとには精根尽き果て座り込んだ二人が残るのだった。
                続く
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