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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-02-17 09:07:42.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『決意の夜に』その30

爆風に舞うイルマの身体を追いかけるように無数の黒炎の矢が迫る。
ぐるぐると掻き乱される不安定な体勢ながら、拳に氷をまとい矢を一つ、二つと迎撃するが、ついには捌ききれなかった攻撃が命中した。

そこからはもう済し崩しである。
都度ハンマーで殴られたかのような衝撃がイルマを襲い、迎撃の手が止まった隙に残弾全てがイルマを穿つ。
轟音と衝撃にイルマの身体があらためて高く舞い、地面に叩きつけられた。

震える手をつき、立ち上がろうとするが、あえなく崩れ落ちる。
偽レオナルド達はその様子を嘲り笑い、とどめの矢をつがえる。

身動きも取れず、再び放たれる矢の群れにさらされたイルマの眼前に、ミアキスが立ち塞がった。
「おいおい、何してくれてんだァ!?勝手にアタシの大事な娘をいたぶってんじゃあねえよテメェ!!」
空気が震えるほどの怒声が響き渡る。

「『華麗脚』!」
軸足を定めたままの、ヒャダインを込めた連続蹴り。その蹴りの一発一発から氷柱が生じ、矢を撃ち落とし更には手数で上回って、お返しとばかりに偽レオナルド達を穿った。

「姿も記憶も模す魔物か…。そういうカラクリだったとはねぇ。これだけ頭数がいるってのに、心の臓腑の気配は一つ。そこの豚みたいな球っころが本体で、他は手足みたいなもんか」
ミアキスは考察を述べながら、たまたま足元に転がるイザベラのペンダントの残骸を拾い上げる。

「おおかた、本体を封じられて弱体化していたせいで読み取った記憶の通りに生活してたって事かね。…ウチの馬鹿が引っ掻き回さなきゃ………いや…時間の問題だったのか」
もはや円形のフレームを残すのみとなったペンダントには、封印が破れた際の爆発によるものとは異なる亀裂が入っていた。

「…し、師匠…どうして…」
「何度も言ったろ馬鹿タレ。人を呪わば墓穴二つ。復讐なんて忘れることだと。…ほら見ろ、ざまぁ無いったら」
イルマの方には目もくれず、ミアキスの視線の先では、すっかり穴だらけになっていた偽レオナルド達が漆黒の太陽から滴る魔力を受けて再び像を結んでいく。「…早く…逃げて…ください」
更には、漆黒の太陽はぷくうっと頬を膨らませる。
再び呪炎を放出するつもりなのだ。

「まあ、馬鹿はお互い様さね。アタシにだって、大人しくアンタを墓穴に突っ込ませる気は、無いんだよ」ミアキスの全身から黄色く立ち昇る気は、いつかの夜のヒッサァと同じように、命を燃やして生み出しているものだ。

ミアキスは強い。
しかし、肉体の全盛はとうに過ぎ去った身、何よりも継戦能力の低下は致命的だ。
故に、敢えて消耗の激しい拳を振るい、早期決着を狙うしかない。

繰り出した技は、エクステンショングローブの効果を上乗せしたイルマのそれを遥かに超える、大輪の『雪月華』。
しかし呪炎の放出を受けて、次第にその表面にはヒビが拡がっていく。

「…堪えてるうちに…早く逃げな…!」
相性が悪過ぎる。
おそらく敵わないであろうことは、誰よりもミアキス自身が一番理解していた。
もとより、イルマが逃げる時間さえ稼げれば。
しかしそれすら叶わないかと、噛み締めた唇から血が滴る。

そんなミアキスの考えはイルマにも透けていた。
今更、恥も外聞もなく、神にも悪魔にも祈る。
自分はどうなってもいいのだ。
だがミアキスは、こんな私を愛してくれた、義母さんだけは…。

絶体絶命のその時、ドルバイクのエンジン音が鳴り響いた。

「あれは任せたよ、ハクトくん!」
「はい!!」
相棒の自身に満ちた表情に、ヒッサァも何の不安なく送り出せる。
ドリフトして急制動をかけるレンタルのサイドカードルボから、勢いに乗ってハクトが飛び立った。

その手には、遂に完成をみた新装備。
ハクトは鞘にもなっているそれから剣を引き抜くと、空中でブレイブジュニアスーツを装着し、ミアキスとイルマを庇うように漆黒の太陽との間、呪炎の奔流の最中へと、その盾をしっかと構えて飛び込んだ。

盾の中央に据えられたコントラクションオーブが純白の輝きを放ち、黒炎の渦が嘘のように消失する。
漆黒の太陽はその口をあんぐりと開け、目を見開いて驚愕するのだった。
                      続く
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