「…だ、そうだぞ、ダイダイック」
ダイダイックブレイブが危機を脱したことに胸を撫で下ろしつつ、ココソーの言葉を受けてセ~クスィ~が無線を飛ばす。
「なんで真っ先にこっち振るのよ。まあ、何にせよ事情あったんだしさ。つい今しがた命まで繋いでもらって、許すも何も無いって」
「こちらも、もとより痛み分けだ。異論などない」
「結局、えっと、フタバちゃんとケラウノス曰く、別の世界のリーダーなんだっけ?…ホントに別人?この状況だったら、絶対にリーダーも同じ事言うよね」
「そうねぇ。やっぱりホントはセ~クスィ~だったりするんじゃないかしら?」
「ですね。同じ戦場に居てくれるってだけで湧き上がる安心感…。太陽が2つ、いや、本物含めて3つになったみたいですよ」
「「「「それは暑苦しい」」」」
「おい!!!!」
セ~クスィ~率いるドルブレイブから、ココソーへ直接返る言葉はない。
代わりにアカックブレイブは右手に構えたハンマーを掲げると、軍配の如く正面へ振り下ろした。
「往くぞ!!!」
スーパードルセリオンが稼働している時点で、セ~クスィ~達の用意した作戦は破綻している。
しかしその中であっても真っ直ぐにスーパードルセリオンを見据えるココソーならびにビッグFは逆転のための大きな鍵だ。
しかし、肝心のビッグFの見た目から伝わる完成状況は勿論のこと、先程、巨岩の投擲により動作不良に陥った様子からも、出来得る限りの露払いを果たす必要がある。
雪崩を押し止める防波堤から、敵の奥地、ユートピアの喉元へ深く深く突き刺さる鏃へと。
アカックブレイブの合図だけで全てを汲み取り、ドルブレイブはフォーメーションを変えてココソーの、もう一人のリーダーのための道を切り拓いていく。
「…ありがとう」
滲みそうになる涙を、短い礼で押し留めた。
「ん~、何だかやっぱりいいもんだなぁ戦隊、5人パーティってやつは。ん?いや、博士入れて6人…あ、あんたも入れて7人になるのか?」
信頼おける仲間同士の間に、取り繕う言葉なぞ必要ないのだ。
ドルブレイブの後を追いビッグFを駆りつつ、マージンはドルブレイブのメンバーを結ぶ絆に感銘を受けた。
「…ちなみに、何をやらかしたんで?」
そういえば今更ながら、マージン一行はドルセリオンが奪われたあたりしか詳細を聞いていない。
「かいつまんで話すが、ダイダイックブレイブごと基地を一つ吹き飛ばして、ブレイブ2号の肋を折った」
「………………………なんて?」
包み隠さず返った答えに脳の処理が追い付かず、思わず踏み込まれたブレーキペダルによりビッグFがキキィッと急制動をかける。
「ダイダイックブレイブごと基地を一つ吹き飛ばして、ブレイブ2号の肋を………て、いや、今はそれよりもだな」
聞こえなかったか、まあこの騒音の中ならさもありなんと律儀に大声で言い直そうとしたココソーたが、そんな悠長な場ではないし、そもそもそういう事ではない。
「内容ならちゃんと聞こえたわ!それを『すまん』で許すて、寛大すぎんだろ!」
戦場のど真ん中というのはマージンもまた百も承知、ドルブレイブの面々の懐の広さが信じられないながらも、ドルブレイブが切り拓く勝利への道程を真っ直ぐ睨み、ビッグFを全力で走らせるのだった。
続く