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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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レオナルドの冒険日誌

2023-11-13 09:44:49.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『There are miracles waiting for me』その14

「アストロン!」
てっきり首が飛んだと思い込んでいたが、マユミの呪文の声とともに自身の身体から響いた金属同士の衝突音にユクの意識は引き戻される。
とはいえ、その身体は指先に至るまでピクリとも動かせない。
「………!?」
どうなってるのと発しようとした口もまた微動だにしない。
薄皮1枚分首に食い込んでいた剣が引き戻され、アストロンの効果がデータに無く対処に惑う機械兵は、反撃が無いのを訝しみつつも、一瞬の沈黙の後、追撃を加えようと彫像と化したユクに向かい再び剣を掲げる。
「ふっ飛ばされる!ユクを支えて!!!」
「「はい!」」
駆け寄って来ていたメレアーデとイルーシャがユクの背にタックルする勢いで肩をあてるのと機械兵の剣が再びユク目掛けて振り下ろされるのは同時であった。
「…!?」
ちょっとばかりご無体ではなかろうか。
暴風のような剣撃に晒されながらユクは動かせないながらも内心で唇を尖らせる。
いやしかしこの状況では正しい判断だ。
ユクの鋼鉄像(本人)を盾に、パーティは2度、3度と続く機械兵の猛攻を耐え凌ぐ。
「メレアーデさん!牽制を!!」
発動の流れは異なるが、イルーシャにはユクを鋼鉄に変えた呪文に見覚えがある。
当然ながらその効果が永遠ではないと知るがゆえ、メレアーデに願い出た。
「ええ!そぉれっ!!」
機械兵の猛攻を前にもはや腕と肩の力では支えきれず、メレアーデとイルーシャの両者ともユクに背を向き合わせ全力で足を突っ張らせていたおかげで腕を空ける事ができたのは実に僥倖だった。

一見、明後日の方向に投げ放たれたかのように見えた女子力高いデザインのブーメランは大きく弧を描き、的確に機械兵へと迫る。
それを一瞥すると着弾までの時間いっぱい駄々っ子のように更に8発も斬撃を鋼鉄化したユクに食らわせたのち、ようやく無駄と理解した機械兵は再度ユク達と距離を空けた。

「…ふぅ」
(………何とか効果時間中に退いてくれたか)
染みが拡がるように鋼鉄化の溶けていくユクの背で、内心の焦りをマユミは口に出さず一先ずの安堵の息を吐く。
伝承の途絶えた禁断の呪文。
莫大な魔力を消耗し、もはやマユミにはホイミ一回分の余力も残されてはいなかった。
ユク達は手札を次々と使い潰し、ところが敵は未だ一撃も受けること無く悠然と剣を担ぎ直す。

どうする。
どうする。
どうする?
「…大丈夫、ちゃんと見えたよ、勝ち筋!やっぱりユクは、最ッ高についてる!!」
焦るマユミを落ち着かせるように呟くと、ようやく動くようになった身体でユクは一歩前へ歩み出る。
鋼鉄化していたとはいえ、散々に打ち据えられた身体の節々は鈍痛を伴うが、むしろおかげで程良く肩の力が抜けてくれたと嘯き、正中に刀を構えるのだった。                      続く
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