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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 踊り子
レベル
: 126

ライブカメラ画像

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レオナルドの冒険日誌

2024-04-29 18:27:20.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『calm before the storm』その15

「………とにかく、上からどいてもらっていいですか?」
ケルビンからすれば会心のパーティ申請、しかしながら未だにケルビンに踏みつけられたままのユクは、前後ろ逆さまにドッキングしたメタルソウラの頭部、そのつぶらな瞳と向き合いながら、ケルビンの予想に反し率直な苦情を述べた。
「………………貴様、もしかしてものすごくアレなのか?」
ユクの返答は至極真っ当である。
しかし自身にとっては全くの想定外な言葉を受けて、ケルビンは理解に苦しみ無礼を重ねる。

「貴方、何か知っているのですね!?」
果てしなく不毛な会話に埒をあけたのはミネアであった。
「貴様はまだ幾分か話が分かるらしいな。ああ、有り体に言おう、姉を救いたくば、吾輩の為に力を尽くせ」
相も変わらぬ何とも憎たらしい口調であるが、足もとを見られている以上、飲み込む他ない。
「………ッ」
間違いなくこの男は、姉の変容、その秘密を掴んでいるのだ。

「だんまりでなく返答が欲しい所だが…まあともかくだ。そろそろ時間が尽きる」
「時間…?」
ケルビンが言うが早いか、まるで先の光景を逆回すように、ケルビンらの頭上をメタルソウラが吹き飛んでいく。
「はっ…!?もおおお!!!?」
「姉さん!お願い、しっかりして!」
メタルソウラとマーニャの明らかな重量差を無視した取っ組み合い、それを成立させていたのはやはり、メタルソウラの動力源たる地脈エネルギーである。
一息に使い果たした結果、どうなったかは言うまでもない。

再び自由を取り戻した赤き竜に追われ、ぐるぐると室内を駆け巡る。
「ちょっ…と!何勝手に…重たいんですけど!?」
「まったく、少しは頭を使えんのか魚女。プクリポの歩幅では逃げ切れんだろ」
「論点が!論点がね!?どうしようもなく噛み合わない!」
メタルソウラが投げ飛ばされたと同時、ケルビンを跳ね除け慌てて起き上がったユクであったが、ケルビンはちゃっかり肩車に預かって、馬を繰るが如くユクに身を委ねている。

「ちなみに、褐色の女、呼びかけは不要だぞ。貴様の姉は別段、気絶しているわけではない。振り向き叫ぶ暇があったら、走るに限る」
先程、ケルビンらの眼前ギリギリで踏みとどまった尾の挙動。
そして今もなお、振るわれる爪は不自然に空を切り、何度も蹌踉めくように壁にぶつかる様は、明らかなマーニャの抵抗の意思を示していた。

『………………………ったのね姉さん!!』
事実、駆け寄るミネアにめがけて横薙ぎに尾を振るった最初の一撃、ユクがミネアを押し倒した事もさることながら、ミネアの呼びかけによってサンプル587の記憶から抜け出したマーニャが、赤く濁った視界の中でも力を振り絞って尾の軌道を変えたのだ。
それでも見知らぬトンガリ頭の首をはねてしまった時は肝を冷やしたが、どういう訳か首も元通り…ではないけれどもくっついて、まあ元気な様子なのでほっとした。

二度と意識を刈られぬよう食いしばり、マーニャは身を覆う何者かに抗い続ける。
ただでさえ、強制的に維持させられ続けているドラゴラムに魔力を吸われ、それもとうに枯渇して生命力を魔力の代わりとどんどん損なっていく中で、である。姉妹の絆は、かくも強い。
しかしそれも、いつまで保つか。

「まさか逃げ回るだけじゃないでしょう?策は!?」言われてみれば確かに、姉の動きからは、何とかこちらに危害を加えまいとする意思を感じる。
しかしながらつかず離れず、命がけの鬼ごっこはなおも続く。
このプクリポは、姉を救いたくば、と言った。
それはユクに肩車をさせる為に告げたわけではないはずだ。

「まあ急くな、メタルソウラが再びエネルギーをチャージする間に、済ませねばならぬことがある。おい、魚女」
「ユクね!名乗るの癪だけど!!」
名を知られることにデメリットしか浮かばないが、魚女と侮蔑的に呼ばれるよりはマシである。

「貴様の名など、ど~でもいい。いいか、ヤツの一部を手に入れる必要がある。吾輩を竜の脇腹あたりめがけて、思い切り投げろ」
「え!?」
流石にそれはどうなのか。
「何だ?嫌なのか?そうかそうか、如何に愚かな貴様でも、ようやくこの天才の脳細胞の価値が解っ………おおおおっ!!?」
躊躇いは一瞬、狙ってのことか天才ならぬ天然か、引き続き煽り散らかされたユクはこめかみに血管を浮かび上がらせ、それはもう全力でマーニャの方へ振り返りざまにケルビンを投擲した。

「ユクさん…」
ミネアの視線が痛い。
「あっ、つい………」
かのプクリポは一時休戦中とはいえ敵は敵で、そしてこれは、本人の要望通りでもある。
それでも流石に今の行いは、傍から見て倫理にもとる。
後悔すれど既にまさしく賽は投げられた。
風圧に唇をわななかせ、マーニャめがけて一直線に舞うケルビンであった。
           続く
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