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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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レオナルドの冒険日誌

2024-09-28 12:44:01.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『其れは誰が夢の果て』その24

まだ地に足をつかぬうち、限界までパンプアップされた上半身のバネのみで、ベータに向かいヒッサァは槍を振り降ろす。
「…っ!」
虚を突けたとは思えない。
アキバと同じく捕らえられる危惧もあったが、何故だかベータの動きには僅かばかりの逡巡が混じり、ヒッサァは事無きを得た。

とはいえ切っ先はベータには程遠く、アキバを拘束するものとは逆の巨腕がゆらりと動き、真っ向から強固な岩塊にぶつかって槍は呆気なく弾かれる。
…いや、弾かせた。
ゴーレムのようなその腕に斬撃が通らないことなど百も承知、筋力に自身の体重を載せても足りない分の勢いをこの反発から貰い受け、流れるように加速した槍の石突きの側をもってして、下段から掬い上げるように強烈な一撃を巨腕に見舞う。

「撃てなくとも使い途はある!やらせはせん、やらせはせんですぞー!!」
一方で、アルファならびにサージタウスに対してがら空きのヒッサァの背に向かい飛来する矢を、らぐっちょはアブソリュート霊を振り回して叩き落とす。
「って、ア痛ァ…!?」
「あっ、らぐっちょさんごめんなさい!」
しまらないものである。
見事ベータの造り出した腕を破砕したヒッサァであったが、あまりの勢いに飛び散った破片の一つがらぐっちょの後頭部へ見事に直撃していた。

「出来る限りでいいのでワタシの背中も守ってほしいですぞ…」
「善処します!」
まあしかし難しかろうとは思いつつもヒッサァに浅く釘を刺すと、引き続き、らぐっちょはぶんぶんとアブソリュート霊を振るい矢を払い続ける。
ヒッサァはと言えば、再度返す刃をベータに突きつけんとしたが、前腕部を砕くも残る掌の部分で穂先を握られ、その重さに眉をしかめた。

一旦槍を退き、素早く振るって残骸を振り払う頃には、新たな巨腕がゆらりと舞い上がっている。
眼前の敵から何とかアキバを救い出し、りゅーへーも連れて山頂まで、果ては険しかろうがそのま道なき山を駆け下りる。
作戦とも呼べぬ破れかぶれとはいえ、そもこれほどに大前提からして難易度が高いとは。

「ぐっ…く……なんのッ!」
再び槍を掴まれることを警戒しつつ、槍の柄でヒッサァの胴にも匹敵しそうな挙を受け止める。
弓のように反る柄、からくも折られる一歩手前で拳を弾けた。

それにつけても、敵の攻撃は性急、ひどく直線的だ。らぐっちょが矢を弾く音の間隔、背に感じる敵の苛立った視線から、目の前の相手もまた、焦っているであろうことは間違いない。
にも関わらず、巨腕を3つ、4つと造りだし攻撃してこないあたり、自身の腕と連動する為2つが上限、もしくは、それ以上は制御が煩雑になるのだろうとヒッサァはみた。
さらには片腕をアキバの拘束に割かれている今、そこが唯一の付け入る隙であるのは間違いないのだが、なかなかに突破口を見出だせない。

「むおぉぉぉ!まだでありますかぁぁぁ!?そろそろ手羽先が千切れるぅぅぅですぞぉぉぉ!」
プクリポの背丈に応じて小ぶりとはいえそも銃火器である、重心もろもろ、振り回すようには出来ていない。
らぐっちょは勿論、ヒッサァの身体をも幾度となく矢が掠め、互いに浅い切り傷を増やしている。

「私のことはいい!離れなさい!!」
「嫌ですっ!母さま、母さまを返して!!」
連れ去らせまいと、りゅーへーはベータの足にしがみつき、アキバが何と言おうと逃げようとしない。

「この…っ…」
今はまだ穏便に、頭を抑えられるに済んでいるが、敵もまた苛立っている。
この状況が続けば、無論、りゅーへーが無事である保証は何も無い。

「…やむを得んか…おいそこの鶏!」
己が身は、どうでもいい。
グランドラゴーンが復活する結果となることも、時代の帰結であれば致し方ないと思う。
それでも、唯一人の娘だけは、何としても護らねばならない。

「らぐっちょですぞ義母様!これでもワタシ立派なプクリポ!!」
「我が神気、貴様に預ける。ゆめゆめ、無駄にするでないぞ!!」
拘束されていようと、魂と魂を結ぶに支障はない。
アキバの角と鶏冠の間に一瞬、蒼く白い光の筋が疾走った。

「おっ…!?キタキタキターー!!漲るぅ!これが本当のワタシーーー!?」
「………いや借り受けた力でしょうよ」
ヒッサァのツッコミが霞むほどにらぐっちょの全身は金色に光り輝き、頭上に頂く鶏冠すらやや伸び上がって見えるほどであった。
                      続く
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