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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 132

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レオナルドの冒険日誌

2025-02-02 15:16:00.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『其れは誰が夢の果て』その53

「「う、動いた…!?」」
ベータはもちろん、累計すればけして短くない時を共に過ごしてきたりゅーへーすらも驚愕する。
らぐっちょの頭に鎮座する剥製の鶏は今や、金色に染まりさらには生き生きと翼を広げ、その瞳からは内包しきれぬエネルギーが懐中電灯の如くビカビカと昼間でも眩しいほどに漏れ出していた。
一瞬だけ、恐れ多くも黄金鶏神社の御神霊を頭飾りにおろす、これこそが、らぐっちょの天地雷鳴士としての極致。

『コッコーーー!!!』
鬨の声と共にピンと伸ばされた首の先、大きく開いた嘴から、収束されたエネルギーが火線となって迸る。夜明けの光明と見紛うばかりの金色の一閃。
とても長く難解な詠唱の果てに繰り出される『金鳥砲』の一撃は、アブソリュート霊には及ばぬものの、使用難易度の高さに比例した出鱈目な威力でサージタウス・マギアの上半身を文字通り消し飛ばしたのであった。

「まさか、姉さまのカスタム機を倒してしまうとは。しかし、急いで離れることだ。遠からず、次が来るぞ」
改良を加えたとて、量産機であることに変わりはない。
信号途絶を検知して、再び同型機、ないしは他のバリエーション機が派兵されてくるだろう。

この身は、姉さまの為にある。
姉さまが要らないというのなら、せめてその手にかかり消えるが相応しい。
魔法生物に死後の世界などあるまい、故に、ガンマと再会できるなどというサプライズもないだろうが。

ベータは何もかも投げ出して、座り込む。
依然として、アルファらの事情をはっきりと知らぬらぐっちょはかける言葉も思いつかず、ただどんよりとした空気が漂う。
「………あの!」
そんな重苦しい沈黙を破ったのは、りゅーへーであった。

「よく、わからないですけど…お姉さんと、喧嘩、したんですか?」
「…んがッ!?」
つい今しがた、命を助けられたばかりである。
滅多なことはあるまいが、仮にも敵に向かいあんまりにもズバリな発言に、危うくらぐっちょの下くちばしは外れるところであった。

想定外だったのはお互い様らしく、あぐらをかき頬杖の上に載せていたベータの頭が転がり落ちる。
「…お前なぁ…」
姉から聞かされていたところによれば、かつての自分たちと同じく、この娘もまた世間一般の常識には疎いのだろうと想像はついたが、あまりにも空気を読まぬ、いや、空気を知らぬ発言に、苛立ちよりも呆れのほうが先にきた。

「ちゃんと仲直りしないと、駄目です。だって…家族でしょう?」
「………私は、お前の母の命を危険に晒している相手だぞ」
「それはそれです」
ただ、ひたすら真っ直ぐに見つめる瞳に、ベータは返す言葉を失う。

「あのぅ…」
一触即発、この状況下で、我ながらよく手羽先を挙げたものだ。
「…なんでレーザーは撃たれなかったんでしょうかの?」
「………なに?」
機械工学をついばむ身だからわかる、戦いの終盤、らぐっちょの詠唱よりも早く、敵はレーザーのチャージを終えていた。

「あの機械人形の言葉は、はっきりと聞き取れませんでしたが…貴女が射線に入ったから、撃たなかったのではないですかの?」
「………」
「それに、明らかな対呪文戦想定の造り…貴女のようなゴ…パワーファイターを相手にするなら、もっと違うタイプを用意すると思うのですぞ」
仮に最初からベータがサージタウスの改良機の相手をしていたとすれば、すんなりと倒せていただろうという確信がらぐっちょにはある。
アレは、きっと対りゅーへーを主眼として造られた。故に、らぐっちょにも付け入る隙があったのだ。

言われてみればベータからしても、その話は得心がいく。
「姉さまは…私を嫌って置いていったわけではない…のか…?」
らぐっちょにはベータの言葉を否定も肯定もできない。
しかし、どうするべきかなら、分かりきっている。

「目的は違えども、向かう先は同じ。ともに、参りましょうぞ」
結局のところ、真意など本人にしか分からないのだ。だったら直接、尋ねれば良い。

「………ふん。ついでに弾除けにもなるからか?」
「ややや、そそそそんな、まさまさまさか…」
そういう旨味を期待しなかったといえば嘘になる。
しかしそれが最大の目当てであったならば、上手く誤魔化してのけただろう。
スマートに動揺を隠せないのが、らぐっちょを憎めない所以でもある。

「口車に乗せられたようで癪だが…まあいい。ああ、そうだ。さっき、私のことを『ゴリラ』と言いかけたな?…覚えておく」
りゅーへーを頼らずとも、アルファの行き先を知るベータは立ち上がり、すたすたと歩き始めた。
「忘れてぇーーー!?」
失言しかけたことなどすっかり忘れていたらぐっちょであるが、当然誤魔化せていようはずもなく、だばっと冷や汗を流しながら慌ててりゅーへーの手を引き、ベータの後を追うのであった。
 続く
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