※ Ver.6のシナリオ上のネタバレを含みますので、ご注意、ご了承ください ※
「王よ!一番槍、馳せ参じました!今こそ、災厄の王を討ち果たしましょうぞ!!」
どこまでもどこまでも、エルトナ大陸全土に轟きそうなほどの勝鬨だがしかし、それに応える声はない。
6000年………あまりにも、遅すぎたのだ。
彼女が命にかえても護ると誓った王は、ヤマカミヌという国は、影も形も残されてはいない。
いや、あるいは、ヤマカミヌの民が流した涙が、未だこの地を湿原たらしめているのかもしれない。
そう、ヤマカミヌ王国はかつて、このスイゼン湿原に存在していた。
また1日、夜が訪れるまで考察の猶予があったとはいえ、いなりが思い出せるだけの『ミトナモ流離譚』の文言、そこに含まれる景色や気候の描写からこの地を特定できたのは、旅鴉のヒッサァのおかげさまさまである。
力無く膝をついた凛に、かげろうはゆっくりと歩み寄る。
「………貴公の戦いの顛末を、話しておこう」
淡々とかげろうの語る昔話は、凛にとって聞くに耐えない話であるだろう。
物陰から見守るいなりとヒッサァは、凛がかげろうの話を嘘だと断じ、遮二無二暴れ回るのではないかと危惧したが、凛は項垂れたまま、かげろうの話にただ静かに耳を傾けた。
ふと、ぽつりぽつりと降り始めた雨が、2人をうつ。「…私は貴女のように大きなものを背負うでもないが…最後の相手を務めるに足る程度には、研鑽を積んでいると自負する」
「………かたじけない」
凛はゆらりと立ち上がり、かげろうに向き直る。
その姿はうっすらと透き通り始めていた。
放っておいても数刻と保たず、彼女は真にこの世から消え果てるであろう。
しかしそれでは、あまりにも救いが無さすぎる。
刀とはすなわち、槍とはすなわち、どう取り繕っても相手を屠るための道具である。
しかし今、対峙するは敵ではなかろうと、それを振るい合うことでしか、交わせない言葉がある。
晴らすことのできない、無念がある。
伝えることのできない、敬意がある。
故に、刃鳴は散る。
続く