昼下がりの午後、カズコとカオルは恒例のお茶会で会話が弾んでいた。
「それでさぁ~そいつ顔は女の子でカラダは男の子な子を紹介してってうるさいんだよね~。」
カオルがさもめんどくさそうに話すとカズコは、
「何?そのクズな男、そんな奴ほっとけばいのよ。」
心底嫌そうにお茶を淹れる。
カオルはカズコの焼いたゴージャスクッキーをつまみながら、
「そういえば今日求人面接があるんだって?どんな人?」
カズコは首をかしげながら、
「さぁ、くわしいことは聞いてないわ。でも、そろそろのはずよね。」
そんな噂をしているせいかはわからないがうな院長がやってきた。
「これから面接を始めるから二人とも適当にどっかでぶらぶらしてきてくれるかな?」
カズコとカオルは顔を見合わせた。
やって来たのはエルフの少年であった。
基本美形の多いエルフではあるが少年はどちらかといえばかわいい印象があった。短く刈った金髪にぱっちりとした目元が印象的だった。
「・・・え~と、年齢は私より上ってことは・・・?」
うなは一応確認してみた、エルフは長寿で有名なため見た目と年齢が一致するとは限らない。あのエルフ代表のヒメア様だってあんなに若くて美しく見えても齢500歳近くあるらしいのだから。
ツトム・キサラギと名乗ったエルフの少年はあわてて否定した。
「い、いえっ!見た目通りの年齢です・・・。」
「そ、そっか。よかった、一応確認したまでです。あなたはカミハルムイで薬学を学んでいたそうですがなんでまたうちで働きたいと?」
ツトムはちょっと挙動不審気味に答えた。
「あの・・・カミハはその・・・激戦区なのでその・・・なかなか就職口がなくて、それで地方に・・・。」
うなはなるほどと思った、確かにカミハルムイは薬学の総本山だ。その知識を学ぼうと色々な国から留学生がくるくらいだ、優秀な人が増えれば当然競争率も高くなる。
うなはこのもじもじとうつむく少年をじっと見つめた。
面接の最中、物陰でかすかに人の気配があった。
(ちょっと!押さないでよ、見つかっちゃうじゃない!!)
(カズコさんがデカすぎて見えないんだよっ!もう少しつめてよ)
狭い場所で押し合いへし合いしていたのはなんとカズコとカオルであった。
彼女達は出かける振りをしてこっそり面接の様子を伺っていたのだ。
(あら、エルフの子ね。なかなか可愛らしいじゃない。)
(へぇ、カズコさんあ~ゆ~のもタイプなんだ。)
(ち、違うわよっ!なんていうか母性愛を掻き立てられるっていうか・・)
(ふ~ん、母性愛ねぇ・・・)
そんなことを二人でコソコソ話ながら様子を伺っていた。
(アンタの時は席を外していたことを後悔したからね、今回はちゃんと見届けとかないと・・・。)
カズコが無意識に発した言葉をカオルは聞き逃さなかった。
(何それ、ちょっとど~ゆ~意味?)
カズコはしまったと思ったが言わずにはいられなかった。
(言葉通りの意味よっ!)
さすがのカオルもつかみかかった。
(ゴリラのくせにっ!あんたの絵面が悪いからそもそもオレが必要だったわけだろ~~!!)
それを聞いたカズコは、
(あっあっアンタ言っていいことと悪いことがあるわよ~~!!!)
狭い場所でもみくちゃになりながら仕舞には、
(あっ!ちょっとそんなに押したらっ!!)
(うわっ!)
がらがらがっしゃ~~~~ん!
後ろでハデな物音にビクッとしたうなとツトムはその音の方向に目を向けてみた。
バケツやモップが転がる中、カズコとカオルが仲良くぶっ倒れている。
「こら~~~~!おまえらなにやってるんだっ!!」
うなが叫ぶ中、二人はバツが悪そうに、
「いえ、ちょっと気になったもので・・・。」
ホホホっとカズコが取り繕う。カオルはそっぽを向いていた。
うなはため息をつき、
「・・・まったく、まぁいいや。明日から来てくれることになった薬剤師のツトム君ね、みんなよろしく。」
うながそう紹介すると、
「うふっ♪よろしくねっ」
とカズコはしなを作り、
「よろしくぅ~。」
とカオルはチャラそうに挨拶をした。
「よっよろしくお願いします。」
・・・ここでうまくやっていけるのかな・・・?
ツトムはやや引き気味に挨拶を交わした。
現在 ドワーフ院長1 オネェオーガ1 不思議系ウェディ1 へたれエルフ1
(続く)