いつだったか…いや、正確には昨日の晩ごはんのメニューすら思い出せない私に、あの日の詳細なんぞ聞くのが間違いだが――とにかく、近所のおばちゃん同士が口喧嘩していたのである。
場所は自宅前のゴミ捨て場。争点はゴミの分別…と思いきや、「あの人、最近私の挨拶無視した!」という、どうでもいい人間関係の機微。これぞリアル・ワイドショー。
それに気づいた私と母、颯爽と仲裁に入る。
我「まあまあまあまあ、お茶でもどうぞ」
母「落ち着いて!あの時あなたが言ったのは…!」
おばちゃんA「でもあの人が!」
おばちゃんB「アンタこそ!」
――なお、この場は無事に収まった(ように見えた)。
それから数日後。おばちゃんAと道端で再会。井戸端インタビュー発生。
A「もう気にしてないのよ、私プライド無いから~」
…と言いながら、会話の9割がけんか相手Bのことである。
私、内心でつぶやく。
「あちゃ~めっちゃ意識してんな・・・プライドって…なんだったっけ?」
そしてこの話を私の腐れ縁の友人にもした。彼(仮名:プライドレス太郎)は、私の中で“プライド?それ食えんの?”というレベルの人間。
その太郎曰く、
「プライドって概念は分かるけど、感情的には理解できん」
なるほど、彼は“プライド”を説明書だけで把握しているタイプのようだ。
私は思った。プライドが薄い人間は、そもそもプライドの高低を自覚できない。だからこそ、彼らは「自分にはプライドが無い」なんてわざわざ言わない。
逆に「プライド無いから~」って言う人は、だいたい誇り高き獅子の心を隠し持っているのだ。
というわけで今日の教訓――
「プライドが無い」と自ら言う者ほど、実はプライドで顔もお腹もお尻もパンパンに膨らんでいる可能性があるので気をつけろッッ!
おしまい。