続きもののショートストーリーです。
『2018/5/5』の日誌が冒険編(1)になります。
『5/6』に(2)、『5/7』に(3)があります。
当然こちらは1ユーザー、1読者の妄想創作です。
公式の作品と齟齬があると思われます。
本気にせずにお読みください。
◆◆◆『怨楽のしらべ4 シャクラ再び』◆◆◆
「もう、もう腕があがらないー」
「あいつらのホルンの音がまだ耳に残ってるぞ、これ」
兵士や他の冒険者と共に、とことんまで戦い抜いたドワ男とクレイは、疲れきって道端にへたり込む。
「でも、太鼓の音も遠くから聞こえてたよねー? って事はこれやっぱりシノバスの楽器のつくも神の仕業?」
問うクレイにドワ男は少しばかり考える。
「単純につくも神にしては、意志の方向性がはっきりしすぎている気がするんだがな」
レンジャー協会を目指した魔物達には、人間的な恨みつらみが感じられる。
「ほう。さすが踊り子。そういうのには敏感じゃのう」
「「シャクラ!!」」
急に影がさしたかと思えば、エルフの大男は二人を上から覗きこんで二マリと笑う。
「今回の襲撃もあって天地雷鳴士達の方でも調べが進んでおったんじゃが、これはつくも神と怨霊のあわせ技といったところじゃろうのぅ」
「外法で作られた器物に邪気と怨霊が溜め込まれたと?」
「おう、そっちでも掴んじょったか! まあそういことじゃろ。これは実にワシら向けと思わんか?」
邪気を鎮める天地雷鳴士と怨霊を祓う踊り子、偶然出会った冒険者が挑むには奇縁という他はないと、シャクラは面白そうに言う。
「ふ、操られた魔物達の事を思ったら、このクレイ様だって黙ってないぜー!」
まもの使いである事を前面に押し出して、二枚目顔を決めるクレイがのっかっていく。
「とすると…敵が潜むのはやはり、シノバスの秘密工房か。レンジャー協会で聞き込むとしよう」
「まったく冒険の舞台ってやつは、ボクという主役を放してくれないな」
「最後に輝くのは地に足をつけてるクレイ様だぜー♪」
「派手にやるのはワシも大得意ぜよ! ぬははは」
男達は情報を手に入れると、翌朝、意気揚々とスイゼン湿原を目指すのだった。
「問題はまた、彼女がいる事か」
ドワ男が難しい顔をする横で、マルテラトは本来の溌剌さを取り戻した笑顔である。
「御三方なら必ず守ってくださると確信していますわ。それに秘密工房に入るには、我が家にも伝わる『あやかしの調べ』を正確に演奏せねばならないのでしょう?」
愛用の笛を抱えてマルテラトは続ける。
「それにこれはわたしなりのけじめです。基礎を疎かにして目先の変化を求めてはいけないのだと、心に刻むためにも、皆さんに協力させてください」
「まったく。末恐ろしいお嬢さんだ。でも、ありがとうな」
あまりに感心したせいかドワ男もついつい、少女の頭を撫でて感謝を口にする。
道を極めるべく進むことの真摯さを、冒険者達は今一度胸に呼び起こされていた。
「よっしゃ! 気合が入りなおしたぜよ! 此度の顛末しっかり目に焼き付けてもらおうかのぅ!」
スイの塔内の隠し扉に辿り着くと、シャクラが油断なくスティック(?)を構える。
クレイとドワ男が少女を守るように左右に布陣し、沈黙の塔内にマルテラトの笛が奏でるどこか異国情緒溢れるメロディが響いていく。
いよいよ決着をつける時がきたのだった。
〔続く〕
※投稿文字数制限の関係で変な所で切れてるかな?
※それにしてもシャクラの土佐弁風口調、難しいっす!