ソウラ12巻、シャクラが過去語りでぶっとい棍みたいな武器背負ってるの見つけてこっそり喜んでます。にひ。
さて例によってまた勝手な二次創作です。
DQX&蒼天のソウラと矛盾するかもしれませんがそういうものです。
◆◆◆台風輪舞の産声(1)◆◆◆
※ノトさんの一人称、口調、性格などはすべて勝手な創作です。お許しください!
速度と半径。その二つを意識する事。
可愛らしくなったその手で剣を握り締めるとソウラは、午前中の訓練でカムナが見せた動きをイメージする。
大剣を持ちながら、時に肉薄して小さくコンパクトに斬りつける。
かと思えば大きく広げた腕で、剣を重りとして予想外の方向へ身をひるがえす。
ピオンが言ったようにその緩急は無限の可能性を感じさせてくれる。
息を吐く音、地を蹴る音、切っ先が空気を割く音。
それらが一体となって、剣術が体に染み込んでいく。
「せえぃっ!!」
ソウラの瞳の中にだけ映る敵を斬り伏せた裂帛の一撃は、今日一番の出来であった。
「よしよし! 今のはすげー鋭かった!!」
思わず一人、小躍りして喜んでしまったソウラがぴたりと止まる。
「けど、やっぱりプクリポの体だと軽い気がするなあ」
無理もない事ではある。本来鍛えられたウェディの少年の体で打ち込むのとはかかる体重が違うのだ。
「むう、それはさっき昼ご飯を食べすぎた私が通りかかったと知っての言葉なの?」
「うわわ!?」
慌てて振り返った先には、にこりと笑うエルフの女性。
戦場においても美しい純白の衣装を纏う、踊り子のノトであった。
「びっくりさせるなあ。今のはただの独り言だってば」
「だよね。でもプクリポが軽いなんて当たり前のことを悩んだ風に言うなんて、どうかしたの?」
そばの石垣に優雅に腰かけて、ノトはソウラに問いかける。
(ウェディに比べてとはさすがに言えないしなあ)
少し迷ってからソウラは、単純に一撃の威力が足りない気がしていたと説明する。
「なるほどなるほど。まあ、そこは種族の差を活かすしかないよね」
「そうだよな」
(うん、実際、ウェディとの差はすげー勉強になってるし)
力強く頷くソウラの姿にノトは、ぽんと手を打つ。
「じゃあ、さっそく軽さを活かしてみよう! 私とソウラでなら華麗な空中戦も可能だよ!」
「さっそくって…ええ!? 空中戦!?」
唐突な言葉にびっくりするソウラの手をとり、ノトが軽快に歩き出す。
「じゃあ、ワッサンを探しにしゅっぱーつ♪」
「あ、いたいた。こちらにおわすのがワッサンだよ」
「急に敬ってるような言い方をするなノト。今までそんな素振りなかっただろ」
膝を折ってかしずき、扇でひらひらとドワ男にソウラの視線を誘導するノトの表情にはいたずらっぽい微笑みが浮かんでいる。
「ええっと、よろしくワッサン。なんだか空中戦について教えてもらえる…のか?」
ソウラが聞くと、ワッサンは突然両腕を水平に伸ばし、二色のナナホシの扇をババっと開く。
「ふ、華麗な体術で宙を舞うかのごときボクの戦いを学ぼうとは、いいぞソウラ!!」
「そうじゃなくてワッサンの得意技の方だよ。あれの連携にソウラも混ぜたらイケてるんじゃない♪」
「そっちか」
すとんとテンションを落としたワッサンは続ける。
「あれは確かに有効なんだが最終的なボクの『目立ち度』が足りないんだ! だからこそ日々新技の開発に勤しんでいるんだぞ。その時間を削れというのか?」
「えーでも、この前も酔っぱらった挙句にD・W・K(ドワコ)♪D・W・K(ドワコ)♪してたよね? 時間的余裕はあるはずだよ!」
ノトの美しい指先で、大人ゆえの過ち(酔っ払い)を指摘され、ワッサンはぐうの音も出ないようだ。
「あはは。こういうのやっぱり冒険者の空気だよな。ぽんぽんやり取りが飛び交うのって、つい笑顔になっちまう」
事の成り行きに思わず笑いだしたソウラに、ワッサンも口元を緩めてしまう。
「そういえば団長と一緒に一戦やらかした期待の新人でもあったな。となれば、こっちも学べることがありそうだ」
やる気になったねとノトに言われて、今度はワッサンも素直に頷く。
「台フーンからの派生が増えればクサナギやハジメも喜ぶだろうしな。下からの迎撃以外で空を飛ぶ敵への対策は多い方がいい」
よし決まりだと、三人は拳を合わせる。
「で、さっきから言ってる得意技って?」
「「ふふふ。それはね…」」
ソウラの問いかけに二人は『イイ笑顔』を向けたのだった。
<続く>
※とりあえず12巻でも名前っぽいのが出てなかったのでワッサンにしておきました。ドワ男で続けるのもあれかなって~。