また自分のキャラは欠片も出てないぜ。
相変わらずのDQX、蒼天のソウラの二次創作です。
なのでネタバレもありえます。
今回も登場しているせりのさん、ハジさん、アニカさんの
キャラクター性、セリフ、心情等はすべて勝手に想像してます。
(ご本人からの問題申告など頂ければ対応します。)
◆◆◆師匠は休養中です◆◆◆
「それでゼタの様子はどうです?」
「うーむ。まだ身体を巡る気の流れが悪いの。強がってはいるが、本人もわかっておるはずじゃ」
「やはり今しばらくはギリギリで戦力を回す必要があり…か」
眼帯のドワーフが呟くと、隣を歩くぐるぐるほっぺのプクリポ、せりのがポンと背中をたたく。
「そこらは副団長やくさなぎ達と、ハジさんが相談しておいてくれるのが一番じゃ」
もともと細い目を、さらに細めて笑うせりのに、ハジと呼ばれたドワーフは了解したと頷く。
少しずつ蓄積される情勢の違和感に、重要な戦力のゼタの離脱。
ハジはわずかに眉間にしわを寄せる。
「まあ、まだまだ何とかなるじゃろうて。伸び盛りの若者も奮戦してくれておる」
ほれとせりのが指さした先には、一人のドワーフ少女が武術の型を繰り返し、汗を流している。
自らの身の丈の三倍はあろうかという棍を、両手で縦横無尽に振り回す。
無軌道に見えてそこには流れがあり、せりの達のような手練れの瞳には、攻防がその動きの中に見える。
「また、腕を上げたようじゃのアニカ」
棍を下段に下して、ゆっくりと息を吐く少女にせりのが声をかける。
「せりのさん! ハジさん! おはようございます」
「おはよう。精が出るね」
「基礎練習、基本の型こそしっかりやらないと駄目ですから。師匠が見ていないからこそ、いつも以上に、です」
アニカの真摯な言葉に、棍に絡みついた龍の意匠(?)までもが、こくこくと頷いている。
「出来た弟子じゃ。ゼタの奴も安心して休めるの」
「とはいえ、訓練のバリエーションが狭まるのでは?」
問うハジメにアニカはふるふると首を横に振る。
「その分、皆さんとの訓練を増やしました。昨日はソウラくんとも手合わせしたりしました」
「彼か。すっかり馴染んでいるね」
あちこちで見かける活動的な新人は、ハジメにとっても印象深い。
「なんと、そんな楽しそうな事をしておったじゃと!? アニカ、わしともやるのじゃ!」
と、突然挙手してせりのがぴょこんと跳ねる。
「え? ええっ!?」
不意を突かれてびっくりするアニカにせりのはしたり顔で続ける。
「ふふふ、若者同士の切磋琢磨も良いが、わしとて老師と呼ばれるにふさわしき格闘家じゃ。得られるものは大きいはずじゃぞ~」
「はっ! それは確かに…で、ではではお願いします!」
勢いに押されて素直に応じるアニカを微笑ましく眺めると、せりのに促されてハジメが手合わせの開始を告げる。
「せいっ!」
リーチの差を活かして長い棍が地を払うように右から迫る。
せりのの身体は、弾かれる寸前にくるりと横回転し、棍の上を通り越して加速する。
アニカは棍の勢いを殺しながら、手の中で後ろへと滑らせて引ききった所を、今度は神速メラゾーマの如き勢いで、突き出して応じる。
「なんのっ」
半身をかわし、下から突き上げた拳で棍の角度を上昇させ、アニカの次の連携を遅らせるせりの。
棍の戻しとともに左に一回転し、下がった後ろ側をそのまま足払いに転じつつ、距離を保とうとアニカが動く。
(せりのさんの拳はまだ届く距離じゃないのに…プレッシャーが、すごい)
アニカの感覚がどんどんと研ぎ澄まされていく。
(性格の差じゃな。ゼタよりも繊細でしなやかに動くようじゃ)
せりのの心に期待が膨らんでいく。
そうやって武道が舞踏になっていくかのような手合わせを、ハジメは冷静に見つめている。
(アニカは右から振り抜く癖があるようだな。確率が高い)
(せりのはやはり、安定しているがリーチの短さは戦闘スタイルゆえ変わらない)
(ゼタの復帰まで二人を同じ方面に配置するのもいいかもしれない。とすると……)
この先の戦いの事を考えながら思案するハジメも、あの棍を自らの身体で受け止める事になろうとは想像していなかったのである。
という事で漫画の第71話、裂ける太陽で致命傷にならないように
攻撃を受ける覚悟と予測があったハジさんという妄想の理由を、妄想したというわけのわからない二次創作でした^^;