DQXの二次創作小説
独自解釈等が含まれます注意!
◆◆19話 それは妖精の国から◆◆
大病魔インフル炎ザード。
冬と共に力を増し、炎の如き熱病をばら撒き続ける。
その姿は白き炎が人の姿をとった如く。
遥かな昔、古の賢者達が妖精女王の力を借りて封じた魔物は、妖精の国にて永い眠りについた。
「でも今年はアレル樹ってやつのせいで妖精の国の冬が長引いちゃったんだ。その間に…」
「インフル炎ザードの力も増したわけね」
「そうなの。冬延長事件は解決したんだけど、気づいたら炎ザードの封印が破られてて~」
ぱにゃにゃんの言葉を首肯するベラ。
魔物はそのまま妖精の国を逃げ出して、この地に辿り着いたらしい。
「じゃあ、かいりや村の人の風邪っぽいのも」
「そいつの仕業という事か」
時折、咳が聞こえる扉に目をやり、マユミとアロルドは神妙な顔をする。
「その魔物を倒せば、みんなの病気も良くなるのね!」
今にも飛び出しそうな勢いで聞くマイユに、だめだめ!慌てないで―!と、どっちが慌てているのかわからないほどの勢いで返すベラ。
「病の化身でもあるインフル炎ザードを完全に倒すのは無理があるらしいわ。それにアストルティアの六種族にはあいつの病はよくうつるの! 妖精の私達は大丈夫と思うけれど」
そういう特性もあって、賢者達は妖精の国へと魔物を封じたらしい。
「となると、対策考える必要があるのか。キラキラポーンじゃだめかな?」
キャンディを模したスティックをくるくると回して、様々な害を防ぐ魔法のまじないを思いつくスウィ~ト。
「それだけだと難しそう」
「いっそベラと私達で退治しちゃう?」
「えー、マユミとぱにゃにゃんはそういう心得あるかもだけど、私はムリだよっ。強そうな人達がいるし、みんなでなんとかしようよ!」
妖精達がわいわいと相談する中、ふとマユミが気付く。
「それにしても、都合よくベラが見える人多いよね。何かのお導き?」
「そういえばそうね。なんで見えてるのあんた達」
黒の妖精に問われてスウィ~トとアイシスは顔を見合わせると、ひょいとざらめを掲げ上げる。
らら~♪
二人の両手を輿にしたスウィートバッグが若干、偉ぶったかのように仰け反っている。
「こちらにおわすのが菓子の国の袋に、摩訶不思議な魔法のレシピの力が加わって生まれた、ボクの相棒ざらめ様なり~」
「この子の影響…かも?」
スウィ~トの口上にアイシスの予測が続くと、ベラはむむむとざらめとにらめっこする。
「この子…ポワン様の力が混じってる!?」
「ええっ!?」
「うそ!? なんで女王様の力が?」
ベラの驚きにマユミ達も驚愕して、ざらめを取り囲む。
ららぁ♪
なんかだかちょっぴり照れているのか、スウィートバッグのアップリケの様なまん丸ほっぺがさらに赤くなる。
「アイシス達って妖精の女王様と知り合いなの?」
「なんだか、知らぬ間に大事?」
問うマイユだが面食らったアイシスの様子に、そうではないようだと悟る。
「これはもう、大元の原因はこれしかないね!」
ババーンと勇ましく口で効果音をつけながらスウィ~トは例のレシピを取り出す。
こちらもしげしげと観察していたベラは、そっと手を触れてこくりと頷く。
「これ、ポワン様の力で何か封じられてる。間違いないよ!」
「これの影響を受けてたから見えたのかもね」
大発見というように興奮するベラと、納得顔のぱにゃにゃん。
「でもそうすると、どうして私にも見えたのかしら?」
一方ざらめやレシピと無関係のマイユ。ベラ達も彼女からは妖精に関する力は見いだせず首をかしげる。
「話を戻すわ! インフル炎ザードはポワン様の力で封じられてた。そしてここにはポワン様の力が込められたレシピがある!!」
ぱにゃにゃんが机に広げられたレシピをびしりと指さす!
「この力を少し借りて、魔物の病から身を守る力にすればスウィ~ト達もクエストに参加できるはずよ!」
ふふーんとどや顔を披露すると、マユミを皮切りにみんなが大拍手だ。
「具体的には?」
「ここには妖精が三人もいます。神秘の儀式を見せますよ」
「月明かりの下でやるから、早めに寝てね! 夜中に叩き起こしてあげるわ♪」
アロルドの問いにマユミとベラが笑顔を見せると、ぎぎぃと扉が開き病人が顔を出す。
「大病魔封印のクエスっどっ、げほげほ…この未来の大英雄も…けほっ…い」
「もう、かりいさんは駄目です」
根性でまっすぐに立つかいりを、マイユはあっさりとお姫様抱っこでベットへと連れ戻すのだった。
「この様子だと看病役兼見張りがいるかもねぇ」
スウィ~トの呟きに、思わずぱにゃにゃん達も頷くしかなかったのであった。