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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-03-29 19:55:19.0 2020-04-06 22:23:37.0テーマ:その他

甘々の冒険者達『31話・リュウガの決断?』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
独自の解釈や設定が含まれるため、大丈夫な方のみお読みください。
登場人物は公式、プレイヤーキャラ共に私の妄想による描写なのでご注意ください。

1話は2019/6/23の日誌からです。
 2014/06/14の日誌に簡単なキャラ出演まとめもあります。


◆◆31話 リュウガの決断?◆◆


 こんなにも近くにあまりにも眩しく輝く素敵なものがあれば、人は魅かれてしまうと思う。

 物心ついた時には、姉はそういう存在だった。
 それを追いかけるのは自然なことで…楽しくて……。
 きっと自分もそういう風になれるのだと、考える事もなく思っていた。

 そこに疑念が生まれたのは、子供の私が少しずつすり減っていったから。
 現実がその目に映りこんでくる年頃になったから…。

 そうして……ついに、それは輝くものの…者の……姉の口から零れ落ち、私の耳にずるりと滑り込んだ。

 いやだっ!

 羞恥? 怒り? 絶望? 罪悪感? それが何だったのか今でもはっきりしないけれど、その時私はただただそこにはいられなかった。

 ドタドタ自室に駆け戻ると、手当たり次第に何かをカバンに詰めて飛び出す。
 聞かれたことに気づいたのか、申し訳そうな顔のリュウガくんと、真剣な顔の姉と廊下で出くわしたが二人を押しのけて、そのまま私は飛び出していた。

 たぶん、泣いちゃってたのを見られてた…。
 思い出すと、少し恥ずかしい。





「そろそろ伝えるべき時期だと思っていたの」
 追うべきだと思って名を呼ぶと、彼女はそう呟いた。

「もう少し上手く出来るつもりだったけれど」
 油断したのかもしれないと苦笑いを浮かべる。

 幾度か冒険にも連れ出した妹。
 でも妹の中に芯を見つけられなかった。
 自分を好んでくれる姿は愛しかったけれど、冒険者としての自分を見つけなければ、本当の危機を迎えた時が心配だったという。

「自分が何をやるべきか。そこに迷えば…死んでしまう事だってある」
 彼女が、イストが妹を本当に案じているのがわずかに震えた声でわかる。


 クラウディオ父さんも俺をそんなふうに心配したのだろうか?
 憧れを追い続けるだけの幼い息子だと…。

 たぶん、そうじゃない──。

 同じくらい心配はしてくれていたのだと思う。
 剣士の名門であるグラディアス家歴代でも突出した使い手で、英雄と呼ばれるほどの父に憧れた自分は幼い頃から才能に恵まれなかった。
 兄弟姉妹に比べても実力の差は歴然で、名門の生まれゆえに多くの期待を裏切る事になった。

 そんな中でも父は問うた。それでも諦めるつもりはないんだな?と。

 父はあの頃から自分が辿り着きたい境地を、解っていてくれたのだと今も確信している。

 沢山の遠回りをして、今もまた新しく歩き直しているところだけれど、剣を握って生きていく事は冒険者の俺の真ん中にあり続けている。

「本当にアイシスさんには芯となるものがないんでしょうか?」

「それを妹が見つめ直す機会にしようと思っていたんだ」
 イストは動かない。いや、動けない。
 この機会は必要な事だとの思いがあるから。

 冒険を続ける“理由”は己で見出さなければならないというのは、自分にも理解できる事だ。

 だがその過程で、誰かが関わる事も決して悪い事ではない。
 近すぎてそれが出来ない者がいるなら、代わりに自分が何かできないだろうか?

 師となってくれたラグナスさんのように、仲間となってくれたシークのように。

「すいません。修行中の未熟者のおせっかいかもしれませんが、アイシスさんを追いかけてみます」
 似ているようで、むしろ正反対かもしれないアイシスの涙が脳裏に浮かんだ。

 向いていないと、不足していると、なれないと、出来ないと言われる事のショックがどのようなものであるかを、自分は嫌というほど知っている。

「そんな、そこまで頼めな…」
 驚いた表情でイストが言いかけるのを、はっきりとした声で遮る。

「袖すり合うも多生の縁…冒険者ならなおさらです! 家族とまでは言えなくても…仲間ですから」
 思いっきり笑う。
 
 父が薦め、家族が応援してくれた、冒険者の旅路で知る事の出来た絆の事を思う時ほど、自然に笑えるようになったと感じる。

 だから、自分は……。


 冒険者リュウガはイストに向かって一礼すると踵を返して走り出した。
 ほとんど他人だけれど、それでも冒険者という仲間の一人を追いかけて。
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