蒼天のソウラを含む二次創作です。
独自解釈、設定の齟齬、改変を含むものですのでご注意ください。
登場するキャラクターの言動は私の妄想であり公認ではありません。
◆◆ホロナPT(2)◆◆
「なんで出てきたでヤンスか旦那~」
「こんなのは予想不可能ニャ!!」
リベリオの背にかばわれるミャルジの泣き言に反論しながら、嵐の如き五連続の斬撃を捌いたリベリオの目の前には、同じ剛剣を構えた巨猫族の姿。
それは紛れもなくリベリオであり。鏡写しのシャモドッキだ。
「フフーン。非力なアストルティアの民に化けるだけの能力ではないのデース」
「ぬぬ! 偽物に負けるはずがないのニャ!!」
お返しにと本家本元、抜刀さみだれ斬りの構えに同じ構えで応じる敵の姿。
むきっーリベリオはさらに怒りを掻き立てられたようだ。
「大猫の旦那はあっちを抑えてくれてるとして、こっちで結果を出すとしようか……ねっと!」
二匹の悪魔の連携にロマンはOZの棟梁らしい得物、ハンマーとノコギリ状の刃をもった片手剣の二刀流で立ち回る。
「KY活動クラッシュ実演版!! 現場はもちろんバトルでも危険予知は大事だぜぇ悪魔さん達!」
荒野に突き出た赤茶けた砂岩の先端をざりりと切り離してハンマーを振るうと、粉砕された砂礫が目つぶしの如くゴルバたちに襲い掛かる。
「妙な戦い方を! そんなもの予測できるかこの野郎が!」
「落ち着け、こういうタイプは勢いで攻めるな」
こちらの飛び出た目など特徴に合わせて動く様子からも、ただの大工でなく歴戦の冒険者だと断じてガルバはロマンを警戒する。
「ひえぇぇ」
ホロナの呪文で眠りから冷めたキョロは、そんな息詰まる対峙に身を固くするしかない。
「大丈夫ですから、離れないでくださいね」
あえて盾を手放し、左手でキョロの手をぐっと握り締める。ロマンは軽口を叩いてはいるが保護対象を庇いながらでは、いらぬ傷も受けてしまう。
(ミャルジさんも易々とこちらの援護は無理。となったらやっぱり作戦通りに……)
突入前のロマンの言葉を反芻する。
相手が徹底してキョロさんを狙ってくるなら、一番傍にいる自分こそがカウンターの切り札なのだと。
「そいつを人質におさらばさせてもらう!」
そんな決意を知らぬゴルバは、ハンマーの大振りの隙をついて後方へと突っ込む。
先ほどから後ろで回復だけしている僧侶など蹴り飛ばしてしまえばいい。
それは油断であり、監督として全体を見る事に優れたロマンによって寄って誘われた収束点だ。
一筋の道はゴルバのためではなく聖なる輝きのためのもの。
ホーリーライト──!
ホロナがその身に受けた加護の力を邪悪を砕く光となす。
「ゴルバっ!!」
相棒の叫びに答える間もなく、三目の悪魔がばったりと倒れる。
四つの目を怒りに燃やしロマンに飛び掛からんとするガルバを制したのはシャモドッキだ。
「上手をいかれましたね。時間切れデス」
グレンの町から続く橋の上を兵士達が持つ灯りの群れが滑ってくるのが見えた。
「逃がすかニャ!!」
リベリオの鋭い一刀を合図のように偽りの巨猫族の姿が弾けて膨らみ、もうもうと辺りに煙が広がっていく。
ロマンはキョロと倒れ伏したゴルバを守るように気配を探り構えるが、シャモドッキ達は完全に逃げを打った様だ。
「ふう、やっとまともな情報源を得たってもんだな」
受けた傷の痛み以上の達成感に冒険者魂を持つ大工の統領はにっと笑った。