魔ルシア
「なんだ突然?」
ハザクラ
「毎日、お世話になっている魔ルシアさんにプレゼントです。
以前、トウカさんにプレゼントしたピョンシェルジュとは、別のデザインを作ったんです。
あれからぬいぐるみ作りが趣味になって、最近では自分でデザインしてるんですよ。今度のピョンシェルジュはお花を付けてみたので、前より華やかになったと思います」
魔ルシア
「そ、そうか。まあ、なんだ……ありがとう」
ハザクラ
「はい」
魔ルシア
「なんとなく部屋に飾ってみたものの、この歳でぬいぐるみとは困ったな……。
そういえば、私の記憶は作り物……。
幼き日に貰ったぬいぐるみも、あのアンルシアの奴が貰った物で、私が貰った物など何もなかったな。
そういう意味では、私は初めてぬいぐるみという物を手に入れたわけだ……」
魔ルシア
「ふふっ。もし私が幼い子供であれば、抱きついたりするんだろうか?
ふむ。なかなか柔らかいな。ハザクラの奴。かなりの時間をかけたのだろう。あいつの暖かさが伝わってくるようだ。偽の世界で勇者と持てはやされていた頃では気づけなかった暖かさだ。
悔しいな。ぬいぐるみ一つでこのように心乱されるなんて。悔しいな……」