ハザクラ
「空中都市コロンビアから帰ってきてから、トウカさん元気ないですね」
魔ルシア
「そうか?」
ハザクラ
「反対に魔ルシアさんは、すっごく嬉しそうですよね」
魔ルシア
「そ、そんなことはないさっ!」
監視端末テミス
「トウカちん、コロンビアで何かあったの?」
セーリア
「エリザベスさんという方は、無事助けられましたか?」
トウカ
「……エリザベスなんて、存在しなければよかったんだよ!」
監視端末テミス
「どしたの? その最上級の悪口」
トウカ
「そのエリザベスに、問答無用で殺されたんだよ!
何度も殺されては生き返るトウカさんでもドン引きだよ……」
セーリア
「えぇ?」
トウカ
「勝手に自己完結してて、人の話も、世界の事情も、大勢の人の命の危険性も知ったこっちゃないって感じで、困った娘だったわ。
もはや魔王クラスの災厄と化していてね。
あの娘がいたら、その偏った正義感と利他主義で世界に不幸をバラまくだけだったから、トウカさんが時渡りでエリザベスを消去するしかなかったんだよ。
全てのエリザベスが消滅したとき、その時こそが彼女の罪が消えて、本当の救いになるんだと思う……」
セーリア
「なんだか意味がさっぱり分からない話ですね」
トウカ
「私も分からなかったよ」
監視端末テミス
「トウカちんは、平行世界の恐ろしさを身をもって知ったみたいだねー」
トウカ
「気分転換にまたどこかに行こうかな~」
セーリア
「今度はどこに?」
トウカ
「そうさなあ……」
魔ルシア
「おいおい、帰ったそうそう、また出かけるのか?」
???
「ああ。エンナカムイに姫殿下を助けに行ってくる」
ハザクラ
「トウカさん、お気をつけて、いってらっしゃい」
???
「某はトウカなどではない」
魔ルシア
「は?」
???
「某は、右近衛大将オシュトル」
魔ルシア
「どうみてもトウカなのに、別人に見える魔法的な力がかかっている……」