【ナドラガ神のほこら】
シルファー「はぁ・・・、地味に遠いんだよな・・・、とそれはいいとして。おーーーーい!!!来たぞーーーっ!!!」
???「やはり珍しい。ここまでやってくるとは。」
シルファー「いやいや、あんたが呼んだんじゃん。誰だか知らんけど。」
???「それは失礼。実は今、特定の冒険者を対象に、とある呪法をかけて回っておるのじゃよ。」
シルファー「もう少し詳しくお願い。」
???「特定とはすなわち、この影の谷でワシを倒し続けている冒険者達のことじゃよ。そしてそやつらに呪法をかけ・・・・試しているのだ。成果はあがらんがな。」
シルファー「呪法とか、あと試すって、なにを?」
???「彼らの記憶からワシらの存在を抹消し、さらには今後も記憶に残らないように運命づける。そうなってもなお、この影の谷へ足を踏み入れることがあるかどうかをじゃ。」
シルファー「えっ・・・、でもそんなことしたら、あんた達の存在意義がなくなるでしょう!?それに冒険者がたくさんくるなんてすごいことじゃん!なんでかよく思い出せないけど、狩場なんでしょここ!?」
???「我々は、ただ殺されるばかりが存在理由ではない。なかには冒険者の役に立ちたい。そう切に願いながら日々を過ごす者もおる。だが、ここへ来る冒険者達のあの目はなんだ。まるで自らの成長だけを願い、倒された者たちへ感謝の気持ちなどなにひとつない。呪法をかけてもなお、ここへ来る者。それはすなわち、殺すだけが目的でない、優しき心の持ち主。」
シルファー「で、でも、やっぱり経験値は大事だし・・・」
???「じゃが、お主はここへ来た。」
シルファー「あ、いやそれは、とあるうさんくさい依頼でして・・・。」
???「言っただろう。呪法をかけたと。それはなにがあろうと我々を思い出し、知ることができなくなるよう運命づける。」
シルファー「呪法ってまさか、私が感じていた異変って・・・。」
???「いかにも。じゃがこうして足を踏み入れることの出来たお主は、きっとなにか我々と、深い繋がりがあるのじゃろう。
シルファー「いやいや、それは良いかも知れないけどさ!他の冒険者達はどうするのさ!きっと私みたいに、なにか異変を感じているに違いないよ!」
???「ならば、信じさせてはくれんか。」
シルファー「・・・へっ?」
???「ワシらと深い繋がりがあるのであろうお主が・・・、記憶を断たれた今の状態で、ワシが何者かを思い出せたならば。まだこの世界の冒険者達は捨てたものではないと判断し、世界中の呪法を解こう。」
シルファー「ええっ!?ノーヒント!?そんなことしなくたって!私たちはこの場所が大好・・・あれ?今何を・・・」
???「フフフ・・・期待しておるよ。」
【声は聞こえなくなった】
シルファー「なーんかもう!どうでもいいようでどうでもよくないな!割と人気だった狩場みたいだし、活気を取り戻してやらなくちゃ!
【自宅にて】
シルファー「ただいまー」
ゆき「おかえりなさいませ。討伐はいかがでしたか?」
シルファー「いやあ、なんかおかしなことに巻き込まれてねー。あ、それよりさ!昨日なんか話したよね?私が何かの討伐に行かれないのですかー?みたいな!」
ゆき「えっ?・・・・あぁ! のことですね?思い出したのですか?」
シルファー「やっぱ聞こえないか・・・、ってその反応。気づいてたんだ。」
ゆき「はい。毎日あんなに楽しそうにしていたのに、興味を示さないなんて・・・おかしいなと思ったら、案の定でしたね。」
シルファー「楽しそうだった?私が?」
ゆき「はい・・・。聞こえないでしょうからあえて名前は出しませんが。【あのモンスター】と遊ぶんだと毎日楽しそうに、そしてとても良い笑顔をされておりました。」
シルファー「・・・・そっかあ。そりゃなんとしても、思い出さないと、だね!」
シルファー「とはいえ、やっぱノーヒントはなぁ・・・・・・って、あれ?」
シルファー「これって確か・・・。」
最終話へ続く。