【かつて、一国の姫は大陸全土を巻き込まんとする大嵐を止めようと、古くから伝わる断嵐の舞を習得して臨みました。】
【そのあまりの危険な行いに王子は反対しました。ですが彼の制止を振り切り、姫は単身嵐の中へと突入し、舞を踊り始めたのです。】
【仕方なく王子も駆けつけましたが、その嵐には魔力が込められており、中にいる人間を蝕む毒をもっていたのです。】
剛拳「なんだこれ・・・、ただの嵐じゃ、ないっ!?」
巨人「クハハハハ!苦しいでしょう!?これは魔物だけに無害な有毒嵐。もう数分も経たないうちにあなた達は朽ちて死んでしまうのですよっ!」
剛拳「ぐうっ・・・!」
巨人「ほら見てみなさい。あの娘もこの嵐の異様さに気づいたようですよ?」
流剣「・・・・・・っ!!」
巨人「バカなやつらです。敵わぬと知りながら立ち入るなんてねぇ!?」
剛拳「なにが、バカなもんか・・・!」
巨人「なにぃ?」
剛拳「敵わない、出来ないかもしれなくても、それでも頑張るあいつの勇気を、バカにするなっ!!!」
巨人「ガハハハハ!なにを言おうともあと数分ですよ!」
剛拳「ちっ・・・!ながれちゃん!」
巨人「ほぉら!くたばってしまいなさい!」
剛拳「へっ、へへっ!」
巨人「なんです?」
剛拳「どうせあと数分なのに、待たずに手を出すんだな。」
巨人「だからどうしたっていうんです?」
剛拳「本当は怖いんだろ。舞で嵐を止められるかもしれないのが。」
巨人「言わせておけば貴様!」
【姫は諦めませんでした。自分の舞を、そして駆けつけてくれた王子の存在を感じとり、信じて躍り続けたのです。すると徐々に・・・】
流剣「・・・・・。」
巨人「バカな!風が止んでいく?空が晴れていく!」
剛拳「・・・・・すごいや。」
つづく