魔法使いさん「あそーれ!ナガーレキュルルン・ナガレキュルン♪」
シルデレラ「なぜかしら?なぜかバカにされてるような呪文だわ。あと、恥ずかしくないの?」
魔法使いさん「・・・・・・・恥ずかしくないです。」
シルデレラ「そ、そう・・・。」
魔法使い「それよりっ!見てみなさい。自分の姿を!」
シルデレラ「姿ぁ?なによ・・・・なっ!」
魔法使いさんの呪文により、シルデレラは武闘会用の衣装に変身していたのです。
魔法使いさん「武闘会は、最後に勝ち残った者を王子の婚約者とするバトルロワイアル。その衣装なら違和感はありません。」
シルデレラ「違和感もなにも!私は行かないって言ったじゃない!」
魔法使いさん「そういうお話なんだから諦めてください!バシルーラ!」
シルデレラ「ちょっ!覚えてなさいよぉっ!」
そう言い放ち終わるや否や、シルデレラは会場へと飛ばされてしまいました。
魔法使いさん「あー・・・・・・恥ずかしかったです。」
・・・・・・
王子様は、戦いが大嫌いでした。
王子「ふっ・・・所詮人はどれだけ自分を見繕おうと、最後に見せるのは血生臭い闘争本能、生存競争。」
幼くして父の率いる王国の戦により、人が傷つく姿ばかり見てきた王子様は、人は誰しも争いを好む生き物だと信じてやまなくなってしまったのです。
王子「戦いの生き残りと婚約するなど建て前もいいところさ。」
逆に生き残りなど気にせず、戦いを好むものを候補から消していたのです。将来を約束された戦いにならば、誰しもが他人を蹴落とすに違いないと半ば諦めながら眺めていました。
王子「今年もダメか・・・はぁ・・・。なぜ人は争いばかりを・・・」
『はぁ・・・。まったくなんでこんな争いなんか・・・』
王子「むっ?」
『あの魔法使いのやつ、次会ったら・・・!』
シルデレラ「こんな戦いイベントなんか興味ないってのにっ!」
王子「ほう・・・なぜいるのかは知らないが、不自由ない将来をちらつかせても争いを好かないなんて・・・。」
王子「興味深いじゃないか!」
はじめての『戦いを好まない女性』に、王子は興味津々でした。