王子「わあっ・・・!」
まるで自分の窮地さえ忘れているかのように、王子様は感嘆の声をあげました。
なぜならその視線の先には・・・
シルデレラ「ケガはない?」
自分を護ってくれた、輝く騎士がいたのです。
王子(嘘みたいだ・・・。忌み嫌っていた戦いが、こんなにも美しく感じる瞬間が来るなんて!)
シルデレラ「ねえっ、大丈夫なの?」
王子「あ、うん。きみのおかげだよ。」
シルデレラ「そう・・・よかった!」
父の戦を見せられる日々、戦いそのものが嫌いになっていく日々。
武闘会の名目で毎年、優雅な将来を呈示しても戦いを好まない女性を消去法で探し求めた日々。
そんな嫌な日々が一瞬で変わるくらいに、目の前の騎士は眩しすぎた。
シルデレラ「確かに私も戦いは嫌いだわ。でもね・・・」
シルデレラ「大切なものを守るために、そのためなら人は何だってできちゃうのよ。」
ちょっと(だいぶ)おかしい二人の姉に振り回されながら、嫌いになるどころか、やっぱり大事な家族だからと守り続けるシルデレラにとっては、戦いも同じようなものだと伝えます。
それを聞いているうちに王子様の中でも、シルデレラへの興味が確信に変わりました。
王子「あのっ・・・僕、きみとなら!」
シルデレラ「あ、ごめんっ!」
王子「?」
シルデレラ「そろそろ帰らなきゃ。なかなか珍しい体験ができたわ。ありがと!はじゃあね!」
王子「あっ・・・!」
(カランッ!)
王子様が止めようとする前に、シルデレラは立ち去ってしまいました。
王子「・・・・・。」
珍しい体験ができたのは王子様も同じです。簡単に引き下がることなどできるわけもありません。
先ほど自分を救ってくれたあまりにも美しい姿が頭から離れないのです。
王子「そういえば、さっきなにか落ちた音が・・・。あっ!」
王子「これは・・・彼女が手にしていた剣!」