父上は、戦いが怖くないのですか?
誰かが傷つくことが・・・
【それはもちろん怖いさ。夜も眠れないことも度々ある。】
ならば、なぜ・・・
【愛しているからさ。】
えっ?
【国をそして、お前たち家族を、な。】
シルデレラ「王子の体に、炎が・・・。」
王子「父上、ようやくわかりました。戦いへの決意、覚悟。僕は今、なによりもシルデレラ。君を守りたい!!!」
シルデレラ「王子・・・。」
王子様の決意に呼応するかのように、闘志の炎が王子様を包みます。まるで奇跡のようなこの光景ですが、不思議と違和感はありませんでした。
王子「凄い・・・。力は沸き上がるのを感じる!これならいけるっ!」
王子「うおおおおおっ!!!!」
オーク「げえっ!なんだよ!なんだよそれはよぉっ!」
王子「愛する人を・・・!」
王子「守るための力だっ!!」
オーク「ぐあああああっ!!!」
王子様の拳による凄まじい一撃でオークは吹き飛び、もう目を開けることはありませんでした。
シルデレラ「すごい・・・。」
王子「ぼくも、誰かを守れるんだ・・・。」
王子「シルデレラ!大丈夫だった・・・・っ!」
シルデレラを起き上がらせようと手を出した王子様でしたが、どうしてもまた過去のトラウマが蘇ってしまい・・・
王子「ご、ごめん。モンスターに触れた手なんかで!少し池で洗って・・・」
シルデレラ「待って。」
王子「えっ?」
王子様が下げようとした手を、シルデレラは優しく包みます。
王子「シルデレラ!汚いよ!」
シルデレラ「いいえ。汚くなんかないわ。あなたが勇気を出して私を助けてくれたその手が、汚いわけない。」
シルデレラ「とても、かっこよかったわ。」
王子「っ・・・!」
まるで沸騰しそうな恥ずかしさや嬉しさを抑えつつ、しばらく王子様は黙って立ち尽くしていました。