ん・・・?
これは、映像を見せられているのか?
僕がまだマチにやられる前。杖となって化かす前の姿じゃないか。
あの金色め。押さえ込むなど言いながら動揺を誘うわけか。
くだらない・・・!
次はなんだ・・・。
ああ。偶然見つけたマチの膨大な魔力に魅せられ、襲撃したら返り討ち。
そこからはその魔力を我が物にしてやろうと、長い長い今に至る策略の始まりというわけだ。
マチか。
お前が返り討ちにした僕が化けた杖だとも知らずに、仲良し気分でいやがって。
毎日「ホーくん」「ホーくん」と呼ばれてたっけな。
こいつも暴走した時にしか魔力を扱えないから、あまりに見てられなくて時々アドバイスしてやったな。
僕が長年かけて充分に魔力を盗み終えて、黒服姿で姿を消したら急にいなくなった僕を泣きながら探していたよ。
「ホーくん。」
マチ「もう、終わりにしようよ。本当は魔術を真剣に楽しんでいた人だったんでしょう?」
黒服「・・・・なんの話だ。僕はただお前の膨大な魔力を妬み、奪い、破壊に使いたいだけだ。」
マチ「嘘だよ!悪いことはしてきたかもだけど、シルファーさんを相手にしても、なにも破壊なんてしなかったじゃない!」
黒服「だからなんだというんだ。」
マチ「杖に化けてた時だって・・・時々優しかったもん。目的は・・・まあ、あれかもだけど。」
黒服「そう。すべては目的の・・・」
マチ「アドバイスをくれたのだって!ホーくんにも昔、同じく楽しく魔法をしていた頃があったからなんでしょう!?」
黒服「そんなことは記憶にない。」
【マチさん。】
マチ「はい!」
マチ「ホーくん、思い出して。魔法はこんなに・・・」
マチ「楽しく、美しいものだって!」
黒服「・・・・!」
『ダメだぁ・・・。おっかしいなあ。ひと一倍魔力はあるはずなのに、うまく使いこなせないよ・・・。』
【いいかいマチ。魔法も、使う人の心次第で様々に姿を変えるんだ。マチのように楽しむ心なら、魔法もきっとこたえてくれるさ。】
『使う人の心・・・。』
【たとえば闇の魔法でも、正しき心で臨めば必ず応えてくれる。逆に、邪な心で臨めば、闇に取り込まれてしまうんだ。マチ、君なら大丈夫さ。】
『うん、わかったよ。ホーくん!』