『はぁ・・・。』
『新しい特撮番組、魔法戦士ホークマンの主役を任されたけれど、いまいち世間に認知されないなぁ・・・。』
『前番組の竜神戦士ナドランガーの人気はすごかったもんなぁ。なんでもファンの少女が本物だと思いこんでスタジオに乱入したとか・・・。すごいよなぁ。それに比べて自分なんか、ファンレターだと思って封筒を開けてみたら』
【などらんがかえしてよ】とか、
【ださい】とか、
【まずその衣装がホークマンたる鷹に見えません。スタッフさんと念入りに打ち合わせをしないのがコケる要因のひとつに思えます。】とか、
『厳しい言葉ばかりだもんなぁ。確かにこれは鷹じゃなくてフクロウだよなあ。はぁ・・・。』
「あっ!あああっ!!」
『ん?』
剛拳「本物だ!ホークマンだぁっ!!」
『・・・キミは?』
剛拳「私、たまたま遊びに来たんだけど、まさかホークマンに会えるなんて!ツイてるツイてるぅ!!」
『あっ、ありがとう。(こんなに熱心に応援してくれる子もいるんだなぁ。)』
『キミは、ボクをダサいと思わないのかい?』
剛拳「思わないよ!確かにナドランガーが終わったときはめちゃくちゃ悲しかったけど。」
『うっ!』
剛拳「でもね!武闘派なナドランガーから魔法で戦うホークマンに変わって、新しい形のヒーロー誕生ってかんじ!私は好き!!」
『そうかぁ。嬉しいなあ。』
剛拳「ねえねえ!」
『うん?なんだい?』
剛拳「私、あれ見たいなぁ。ホークマンの必殺技、マジカルホークバスター!」
『えっ?』
剛拳「えっ?いつもピンチになると使う切り札だよね!」
『・・・・・・。』
『(まさか、リアルと特撮の違いがわからずにスタジオに乱入した少女って・・・。)』
『ごめんね。自分は役でホークマンを・・・』
剛拳「?」
『(って、待て待て!いま現実を突きつけたらこの子の夢を壊してしまうぞ!しかしこれくらいの年でも特撮がわからないものなのか・・・?)』
剛拳「わくわく!わくわく!」
『(ど、どうしよう・・・!!)』